海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
離脱
「ダメだ、ゆぅの体力が足りねェ」
「ここまでやっておいて、なんとかならんのか」
「なァに、今夜の満月でなんとかできる程度には回復するだろうよ。良かったなァ?妹も役に立つじゃねェか」
ドフラミンゴは外した2つのエメラルドを不死鳥に放り投げると、ミホークからも離れたところにドカリと腰を下ろす
砂浜に落ちたエメラルドに寄り添うように座ると、不死鳥は再び眠りについた
日の入りと共に昇り始める赤い月
赤からオレンジに変わり、やがて白く鏡のように月が光り出すと、ゆっくりと不死鳥が立ちあがった
合わせるように腰をあげたドフラミンゴとミホークを制するゆぅ
『大丈夫、1人で出られるわ。マルコ、体の前面を燃やすから。アタシが出たら一度全身を再生させてね』
「わかったよい」
正直を言えば、アイツの目の前でゆぅを手放したくなどない。が、自分に熔けたりせず、ゆぅにはゆぅであって欲しい
「ありがとう、マルコ」
青く燃える炎の中から聞こえるゆぅの声。気づけばもうゆぅの体は全て外に出ていて、熔けた時のように腕を首にかけて抱きついている
「今度は、あなたの番よ」
『あなた』と言った、その響きが温かいものとなってマルコの中に入ってくる
その心地良さに目を閉じると、一気に再生の炎が自分を包んだのが分かった
炎が消え、ゆっくりと目を開けると、人に戻った自分の胸元に寄り添うゆぅの頭が見える
腕を背中に回そうとした時、ゆぅから力が抜け腕がスルリと首から離れる
その反動でマルコから離れたゆぅは意識を失いかけた表情で、それでも倒れぬようにヨタヨタと後ろへ足を出していく
ゆぅを支えようと手を伸ばしたマルコだったが、頭がグラリと揺れ、足に力が入らない
崩れるように座り込んでしまった体を手をついて支えながら、ゆぅを見上げるのがやっとだった
マルコだけではない。動けないのはドフラミンゴもミホークも同じで、ただその場でゆぅを見守るしかできずにいた
さらに4歩、5歩と下がっていき、3人のちょうど真ん中あたり――誰の助けも届かぬところで
力尽きたようにゆぅの体はそのまま後ろへ倒れていった
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