海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
長い3日間を終え
白ひげ海賊団の彼らにとって、これほど長い3日間があっただろうか。やっと満月の日の朝を迎えた
朝の光で目覚めたマルコはよろよろとしながら波打ち際へと進み座りこむ。何度目かに打ち寄せた波で不死鳥に姿を変えたマルコを、仲間たちが砂浜へと引き上げる
この3日間、何度も繰り返されてきた事。人の姿に戻った事に気づくたび、マルコは海へ向かう
回を重ねるごとに、不死鳥でいる時間は短くなっていき、人の姿に戻っても眠ったままの時間が延びていった
夜は満月にわずかに届かない月の光のもと、ゆぅが時々目を覚ました
―― 夜は月の光で十分だから、人の姿のまま寝かせておいて。今のマルコにとって不死鳥でいる事はものすごい負担なのよ
―― 不死鳥の姿になる時は、波打ち際で少しずつ波を受ければいいって伝えて....一気に力をもらっても苦しいとか、適当に理由をつけてよ。マルコに無茶させないで
初めに目を覚ました時にジョズにそう伝えたゆぅは、意識が浮かび上がるたびにマルコの様子を聞いては月を見てすぐ眠りについた
青い空を駆けることなく砂浜にただ静かに佇む不死鳥を、月明かりに包まれ眠るマルコを、
家族達は黙って見守り続けてきた
あと半日。日が沈み、満月が昇れば
ジリジリとしか動かぬ太陽が、やっと最も高い所へ辿りついた時、彼らに緊張が走る
島を廻り込んで突如現れた、大きな船
そこに掲げられたシンボルと同じ笑顔を浮かべて船を飛び降りる男、後をついて舞い降りた黒い影
2人を残し、船は見守るように沖に停泊する
「フッフッフ、お前ら何やってんだァ?」
「何しに...来たんだ...よい」
眠っていた不死鳥がゆらりと立ち上がって、一度大きく羽ばたく。舞いあがる準備をするかのように
「ゆぅはどこだ?ここにいるのは間違いないのだ」
「姿が見えねェだけで、目の前にいるじゃねェか。そういう溶け合い方は、そうそうできねェよなァ。うらやましいじゃねェか」
『....ドフラミンゴ、ミホーク。アンタたち、何で、ここに、来たの?』
目を覚ましたゆぅの心が、『特別な』彼らにザワリと動くのをマルコは感じた
なるほど、これがパートナーってやつかよい。確かに俺は違うよい....あの船を見た時も....こいつらだったのかよい
「おいおい、心配して来てやったのに随分な言い方じゃねェか」
両手を掲げ、大げさに嘆いてみせたドフラミンゴは、すぐにニヤリと見下ろし不死鳥を指差す
「あの場から逃がすために、預けただけだ。お前にくれてやったワケじゃねェぜ?フッフッフ、ゆぅ、言ったろう?俺はこのまま終わんねェってよ」
「そんな所に隠れおって、ふざけた事を。その上わずかな気配しか....治るどころかむしろ消えそうではないか」
「フッフッフ、まったくだ。で?このままなら死ねるぞ、ゆぅ?そいつと心中ってのが気に入らねェがなァ」
張りつめていた空気に稲妻のような衝撃が走った
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