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海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
海と空の気持ち
翌朝、皆が目覚めるころには、もう不死鳥の姿は空にあった


「まさに空を舞ってるって感じだな」

「ありゃあ、マルコじゃねぇだろ」

「やらされてんのかもしんねぇけどな」



昼近くになって、ようやく下りてきた不死鳥


「よう、ずいぶん早起きだったようじゃねぇか、ゆぅ」


『早起きの鳥は虫を捕まえられるってね。おかげでアタシだけでも好きなように飛べるようになったわ』


「空で踊るのは楽しかったか、マルコ?」


「冗談じゃねぇよい!ゆぅには優雅に大空を舞うっていう美意識がわかんねぇんだよい!」


『また、そんなジジくさい事を』


「ったく、力任せな動きをしやがってよい」


『水中と空中じゃ浮力と重力のバランスとか抵抗とかが全っ然違うんだもん。濃度も変えられないし』


「あんなアクロバティックな動きは、戦闘の時だけで十分だよい!クルクル回ったかと思えば、急上昇に急降下....」


『渦を作る要領で竜巻とかできるかもと思ったんだけどねぇ』


「作らなくていいよいっ!」


『なんか気疲れしちゃったから、アタシお昼寝するね』


騒ぎ疲れた子供のように、座り込んだ途端に眠りにつく不死鳥


「....おい、マルコも寝ちまったか?」


「起きてるよい」


「メシとかどうすんだ?」


「いらねぇよい。ゆぅの影響だろうが、体も疲れなきゃ、腹も減らねぇよい」


「そうか。まぁ、いるようならゆぅが騒ぐだろうしな」


「まったく、気疲れしてんのは俺の方だってんだよい」



夕方になって起きた不死鳥は、またすぐに飛び立ったが、今度はゆったりと風に乗っているようだった





翌日も朝から夜まで、飽きることなく空を飛び続ける不死鳥


「やっぱり月はあんなに遠いままなんだね」


「月まで行きたいなら行ってやるよい」


「んーん、いいの。アタシに必要なのは月そのものじゃないもん。月に込められた気持ちだもん」


「ゆぅ....いつもこんな気持ちで月を見てたのかよい....あったけぇよい」


「あったかいのはマルコの方....ずっと、アタシを包んでくれてるでしょ?」


マルコの意識に合わせたようにその力が強くなる


「海のアタシと空のあなたがこんな風に一つになれるなんて、思ってなかった....ふふっ、なんだかすっごく嬉しいの....」


「....ゆぅ....海の気持ちが少しだけ分かったような気がするよい」


―― 本当はアタシを溶かして一つになりたいんだけど、そうするとアタシの存在が無くなっちゃうからしないんだって


まったく本当に....そのとおりだよい



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