海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
教えて
「ジョズ....明日の約束の時間まで、ここにいていい?」
俯くアタシの隣に腰を下ろした大きな気配に尋ねれば、「ああ」と返事が返ってきた
「ちょっとだけでいいから、一緒にいて?」
「ハハッ、いくらでもかまわねぇが....俺にはずいぶんと素直に甘えるな、あの頃もそうだったが」
「ジョズはね、ずっと昔、アタシの城にいた人なのよ。甘えてるのはその頃から」
少しだけ驚いたジョズは、すぐに「そうか」と笑って頭を撫でてくれた
ジョズに寄りかかって、ぼんやりと砂浜を見ていた。自分が言った事を思い出しながら
「アタシ、あんな事思ってたのね」
「気付かねぇように、しまってたんじゃねぇか?だから自分の事をちゃんと考えろって言っただろう?」
「だって、マルコはパートナーじゃないし」
「あぁ、何やらそんな面倒なことになっているんだったな。惚れたらとかじゃねぇようだしな」
「最初の人はたぶん、ただ惚れたからってだけだったのよ。でも、今はそうじゃないと思う。もちろん、みんな大好きだったけど」
あ、一人を除いてと、ゆぅはくすりと笑う
脱力感で時間の流れなんかわからないままで....気がつけば今日も綺麗な夕焼けだった
「晩メシの支度ができたぜ。適当につまめるモンにしたから、好きなように食ってくれ」
いつの間にか、アタシの周りに集まってくれた人たちは、何をするでもなくただ一緒にいてくれたから
「みんな食べてきて?アタシはここにいるから」
笑ってそう言ったのに、入れ替わり立ち替わりしながら、結局アタシを一人にすることはなかった
ゆぅの視線を遮れるように、ドサッと砂の上に酒瓶が置かれた
「コメ酒とテキーラ、どっちだ?」
少し驚いたゆぅだったが、フッと肩から力が抜け首を振った
「ありがと、でも今日はいいや」
言いながら顔を上げると、目の前に皿を突き出される
「じゃぁ、これ食え。同じ事グルグル考えてばっかでもしょうがねぇだろ?」
小さなタルトを少しずつかじるように食べていくと、一口ごとに涙の味に変わっていった
「ねぇ、ジョズ。もしも今、サッチがいたら....なんて、言ったと、思う?」
最後に飲み込んだのは涙だけだったのかもしれない。誰かに教えて欲しかった。サッチなら何か言ってくれる気がした
「俺に、不死鳥、よこせとか、ふふっ、マルコとケンカ、したのかな?」
「さぁな。パートナーなんかやめちまえ、じゃねぇか?」
え?と見上げたジョズは海を見ていた
「無理矢理想いを終わらせてやるとか、自分の気持ちをしまいこむとか、そんなことしなくていい。面倒もあるが、想ったり想われたりが人間だろ」
「....なんかそれ、ニューゲートみたい」
「オヤジの息子だからな。オヤジはゆぅに人間らしくいて欲しかったんじゃねぇか」
「....うん。もう旅をするのに海に溶けたりするなって」
――船を下りても、もう海に溶けたりするんじゃねぇ。ずっと泳いだり潜って遊んだりは構わねぇが、人のナリでいろ
――パートナーのうちに『お願い』しとかねぇとなァ?
「だから、あの時も」
ニューゲートの『お願い』だったから....疲れたけど海王類に乗せてもらってた
「みんなに会えたんだった」
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