[携帯モード] [URL送信]

海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
不死鳥
「な....ゆぅ....」

―― なんで


例え雑踏の中だったとしても、俺の体に巻きついたこの腕はゆぅのものだとわかる自信がある

わからねぇのは、抱きついているこの状況


赤髪がいなくなってから、俺から逃げることはなくても、自分から俺一人の時に寄って来る事はなくなってたじゃねぇかよい




「ゆぅ、お前、そいつに会いに来たのか」


ジョズの言う「そいつ」の意味が、間をおいてうなずいたゆぅが、わからねぇ


「そいつ」ってのは俺じゃねぇのかよい


その疑問を肯定するかのように、ジョズが大きく息を吐いた





「初めて見た時、キレイな鳥だと思っただけだった。でも、捕まえてみたら....不死鳥だった。アタシと同じ再生の力を持つ炎」


ああ、だから『同類の情』だって....


「痛くても治る、治るけど痛い。そんなの誰もわかんない、そういう孤独。でも、自分が頑張ればみんなを守れる、守れなかったら自分の力不足、そう思ってしまう孤独」


それは、俺も....


「おんなじ孤独を持ってるから、独りじゃないって安心した。でも、マルコは限りある命....それでも....」


―― 不死鳥だって普通に歳とっていつかジジイになって死んでくでしょ?

ゆぅは永遠の孤独



「ドフラミンゴと一緒に行くからって別れたあの日。頭に乗せられた手から伝わる力で確信したの。『可能性』を見てたんだって」


―― ホント、鳥のままなら良かったのにね

っ!まさか....待って、くれ....



「もしかしたらずっと一緒に?って思った。でもね、アタシが一緒にいてほしいと思ったのは、不死鳥なの。マルコ、アナタ自身じゃないのよ」


そういう、ことか、よい

一気に体から力の抜けたマルコ。ゆぅはさらに腕に力をこめる



「アタシはずっと....アナタの中にある不死鳥の力を見ていたの。ごめんね、マルコ」


船に乗せなきゃ俺を寄こせと言ったのも
ガキみてぇにチョッカイかけてきたのも
やたらとなついて構ってきたのも

契約の風とやらが効かなかったのも


名前でなく「不死鳥」と呼んでいたのも




「最初っから、俺なんて、お前の世界にゃ、いなかったってことかよい....」


俺にじゃねぇ。食った悪魔の実にだった





[*前へ][次へ#]

16/20ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!