海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
....のに
誰にも何も言わせないように
昔の姿まで引っ張り出して
見せた王威は相当なプレッシャーだったはず
なのに
当たり前のように腕を掴まれた
能力者のくせに
背の立つ深さでも力が抜けていくのに
最後の最後、気を失うまで
アタシの腕を離さなかったマルコ
ううん、気を失ってもわずかに掴んでいた
だから....?『明日』なんて....約束
掴まれてることも言われてることも
存在すらも無視して海に戻るはずだったのに
振り返れば、マルコはちょうど沈みきって砂に横たわるところだった
ゆらり揺れる髪を撫でてみても、もちろん反応があるわけはなく
それがさみしいような気がして、俯せた背中に手を置いた....さみしい?
不思議に思った瞬間、答えが手に伝わってきた....少しずつ弱くなっていくその力
終わらせちゃいけない....この力、この命
終わらせなきゃいけない....この想い
「お願い....」
マルコの体を浜辺の方へ転がすように押すと、静かな流れが仲間たちの元へと運んでいった
そのままそこに座りこんで夜を迎えた
「父上も母上も手伝ってくれたじゃない」
なんでそんなに悲しそうなの?
悲しそうに痛むのは
石じゃなくてアタシの胸?
そんなわけ、ない....だって、違うのに
顔を伏せたまま夜は明け....明るくなった海はやがて夕日に染められていった
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