海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
足かせ
「は....どういうことだよいっ!」
マルコの怒声に一同が2人に視線を向ける
ゆらりと立ち上がって、海へ入るゆぅ
「待てよいっ!」
慌ててマルコが立ち上がると、ゆぅは陸へ向き直る
「ねぇ!聞いてほしい事があるのー!」
全員が波打ち際に集まり、促されるまま腰を下ろすと、足首まで海に浸かっているゆぅを見る
「ここにはニューゲートの墓標がある」
ゆぅは静かに語り始めた
「みんな、ニューゲートが大好きだったから、この島をなかなか出られずにいる」
誰も何も言わず、静かに聞いている
「そして、アタシが毎日来て....みんなはアタシを待ってくれてる」
水面へ視線を落としたゆぅが愁いの表情を浮かべる
「アタシ、みんなの足かせになりたくないの」
「誰も足かせだなんて思ってねぇよい?」
諭すように静かに答えたマルコに皆が頷く
「この島に来て、もうすぐ2カ月になるわ」
え、もう?といういくつかの呟きが聞こえる中、マルコはそんなことかと安堵の声を出す
「たかが、2カ月じゃねぇかよい」
「みんなはどう?たかが?もう?」
ぐるりと一同を見回すゆぅ
「もう、2カ月と思っている子はまだいい」
「だから、ログを溜めるのに、もっとかかった島なんていくらでも....」
「自分で心のログを溜めようとしてないんじゃないの?」
マルコを遮ったゆぅの言葉に....皆、見ないふりをしてきた事を突き付けられた
「海に出たいと思っている子もいる。でもほとんどの子は、何となくこのままでいいんじゃないかって....もう、ここで海賊人生を終わりにするの?」
終わりにするつもりなどない....それでも、海に出ようと思わなかったのも事実
「アタシがこの島に来なければ、みんながここにいる理由がなくなるの。思い出を糧に変えて、海に目を向けられるようになるのよ」
静かなゆぅの声は、すぐ隣にいるかのようにはっきりと聞こえ、目を閉じ海に立つその姿は、自分たちをいざなう海の使いか何かのように思えた
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