海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
くすぐったい
宴が始まるとあちこちから聞こえ始めた「シッポ」と言う言葉に、ゆぅは恥ずかしいようなくすぐったいような気分になった
「ゆぅ、シッポは元気か?」
「バカ、シッポが元気じゃダメだろ」
「ハハハハハッ」
どこへ行ってもこんな感じで....だが、このクルー達は少しだけ違っていた
「なぁ、ゆぅ?シッポが取れたら、俺達の船に乗ってくのか?」
軽く眉を上げるゆぅに、聞いてきたクルー達はバツの悪そうに苦笑する
「まぁ、まだ船はねぇけどよ。隊長達がその気になりゃあ、なんとでもなるだろう?」
「ふふ、アタシにそう聞くなら、『俺達がなんとかするから』くらい言いなさいよ」
そう文句を言いながらも、ゆぅは嬉しさを隠しきれない
「その時にならなきゃわかんないけど、嬉しいお誘いには違いないわね」
「そっか!じゃぁ、みんなに....」
「それはダメ」
盛り上がりかけたクルー達を制するゆぅ
「そういう、これからのことは自分で決めなきゃダメなの。だから、まだ決められてない人を巻き込まないで」
「でも、きっかけくらいにはよ?」
「アタシが白ひげ海賊団に入るわけじゃないんだもの。アタシを理由に決めたら、いなくなってからが困るでしょ?」
「....そっか。うん、そうだな」
少し残念そうにする彼らに、ゆぅは明るく言った
「でも、明日また少しコレが細くなってたら、間違いなくアンタ達のおかげよ」
「ハハッ、シッポな!」
「やだソレ、もうっ!まったく。マルコにオシオキしないと」
隊長達の輪の中にマルコを見つけたゆぅは、マルコの前に駆け寄ると腰に手を当て仁王立ちする
「ちょっと?みんなでマルコの真似して!どうしてくれんのよ、恥ずかしいじゃない!」
「ああ....」
言い出した張本人がふて腐れているので、肩透かしを喰らうゆぅ
「な、なに....?あ、ちょうど隊長が揃ってるじゃない!ねぇ、止めさせてよ」
「ゆぅ、いくら俺達でも、そりゃあ難しい」
「当の俺達が言っちまうからなぁ?」
「かわいらしくて、いいじゃないか」
「か、かわっ?アンタ達、面白がってるでしょ!」
「どうした?『かわいい』くらい言われ慣れてるだろ?」
「そんなにアタフタされちゃ、なおさらやめられねぇなぁ?」
「ああ、マルコのいじけっぷりも珍しいしな」
「何で、言い出しっぺがいじけてんのよ!」
「マルコだけの呼び方のはずが、皆の呼び方になってしまったからな」
「ハァ....」
「ちょっ....変な言い方しないで!マルコもため息ついてないで、言い返しなさいよ!」
「他に何て呼ばれてぇよい?」
「....っ!なんなのよ、もうっ!」
見上げてくるマルコに顔の赤くなったゆぅは、その理由もよく分からず....その場にドカッと座り込んだ
「とにかく、ここは『シッポ』禁止だから!お酒ちょうだい!」
結局、マルコと並んでいては、隊長達のからかいの種にしかならず....
くすぐったい気分のまま、夜が明けていった
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