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海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
シッポ
数日後、やって来たゆぅに誰かが気付く


「あれ?ゆぅ、ソレ、ずいぶん細くなってねぇか?」


振り返ってみると、海につながる髪の束が指の太さほどになっている


「倍くらいは太かったよな」

「順調じゃねぇか」

「無くなるのも時間の問題だぜ、きっと」

「こら、焦らすなって」


男たちがゆぅを取り囲み、口々に喜ぶ


「うふふ。ありがと、みんな」


ゆぅも満面の笑みで答える


「こりゃあ、今夜も宴だな」

「ちょうど1週間ぶりだ」

「じゃあ、買出しに行かねぇと!」

「はりきりすぎて買い占めちゃだめよ?」

「ゆぅがどんだけ飲むかじゃねぇか?」

「ちょっと?聞き捨てならないわね!」


上がる笑い声


「ゆぅのソレが取れたらよ、一緒に酒場で騒ごうぜ!」

「うん!」

「酒場の酒、いつまでもつかな?」

「しょっちゅう、品切れにしてくれる上客だぜ?じゃんじゃん仕入れてくれんだろ」

「なかなか、気持ちのいい町なんだ、酒場以外も行こうな?」

「........うん」

「あ、悪りぃ。ゆっくりでいいからな?ムリすんなよ?」

「ったく、調子にのりやがって」


声のトーンが下がったゆぅに、慌てるクルー達。ゆぅはため息混じりに笑った


「まったくもう、アタシの事ばっかじゃなくて、自分達の事も考えなさいよ?」


「俺達なら心配ねぇって!なあっ?」


オー!と楽しそうに上がる声に、ゆぅはヤレヤレと苦笑した




「ずいぶんと賑やかじゃねぇかよい」


「あ、マルコ隊長!ゆぅの後ろのこの髪が細くなったから、宴しねぇとって言ってたんだ」


「あ?あぁ、確かに今日は一段とシッポが細くなったようだねい」


「「「シッポ?」」」


「呼び方を決めねぇと、不便だからよい。海に繋がれてんなら鎖でも構わねぇが、ソレはゆぅの一部だろい?」


「鎖だってアタシの一部....っていうか、頭からなのにシッポだなんて、なかなかのセンスよね」


「んな事より、自分で気付かなかったのかよい?今日ほどじゃねぇが、毎日ちゃんと細くなってたよい」


「....だって、見えないじゃない」


遠くからの呼ぶ声に答えてマルコは続ける


「ってことは、体調の問題じゃねぇ、心の問題だよい。ゆぅの事だ、面白そうなモンでもありゃあすぐにでも取れるだろうよい」


膨れっ面のゆぅに意地の悪い笑顔をすると、取り囲むクルー達に目を向ける


「なら、バカ騒ぎはピッタリだよい。やってやれよい」


そう言い残して呼ばれた方へ歩いて行ったマルコを見ながら、誰かがつぶやく


「毎日ちゃんと細くって....俺達も毎日見てたけど分かんなかったよな?....どんだけ、見てんだよ」


ああ、とも、うん、とも言えない声で皆うなずいた





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