海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
引き継いだもの
満月の夜、久しぶりの宴
ニューゲートとエースの眠るこの島で
「なぁ、もし食えるんならコレ....」
4番隊のクルー達から差し出された皿には小さなタルト
「コレって....サッチの『酒興タルト』?」
「ぶっ、なんだその名前は」
「サッチ隊長の付けてたのもアレだったけどな」
「まぁ、ソレであってんじゃねぇか」
いいから食えと苦笑交じりに言われて口に運ぶ
「やっぱり、酒興タルト!なに?酒飲みばっかりだから、コレも定番になっちゃったの?」
目の前のクルー達は嬉しそうにガッツポーズをしたり、手を打ち合わせたりしている
「違う違う、コレはとっておきなんだぜ?」
『お前ら、いいか?不幸にも三度の飯より酒が好きな女に惚れちまったら、このタルトを作ってやれ』
『隊長、そりゃ自分の事じゃねぇか!』
『バカ、俺は全ての出会いに全力を尽くしてんだ!どんな女にも旨いモン食わせられなきゃ、4番隊隊長の名がすたるってもんだ』
『で、タルトの名前はなんすか?』
『え?しゅきょ……あー、いやいや……うーん……「バッカナーレ」だな』
『バカになれ?』
『違ぇよ!酒の神サマを讃える踊りの事だ』
『えー、絶対ぇフラれる名前だよなぁ』
『だから隊長は全ての出会いを頑張ってるんだろ?』
『コラーッ!おめーら、いい加減にしねぇと教えてやんねぇぞ!』
「だからな?酒が大好きで特別な女だけに作るんだ」
「サッチ隊長を見送ってくれたんだろ?」
「隊長達に聞いたぜ!ありがとな」
胸がキュウと鳴いて、口に残る風味に涙がにじむ
「ありがと。完璧よ、アンタ達。ちゃんとサッチから引き継いでる……腕も心もね」
こうやって引き継がれていくものもある....
零れた涙に慌てたクルー達に笑う
「お礼にバッカナーレを踊ってあげるね」
酒の神バッカスのための踊りを
今夜はサッチと彼らのために踊ろう
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