海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
交渉成立
「お前らには悪ぃが、アレをゆぅに売るつもりはねぇ」
海に向かって言ったその言葉は、仲間たちにではなくゆぅに言っているかのようだった
海を睨んでいるようなマルコの肩を、背中を、頭を....クルー達から次々と叩かれ小突かれ、ついに振り返るマルコ
「痛ぇよい!いい加減に諦めろい!」
その先にはニヤリと不敵に笑う仲間達
「そんな金を借りてぇヤツはいねぇよ」
「その程度と思われていたとは心外だな」
「そのうち通りかかった船でも奪えばいいじゃねぇっすか」
「俺達ぁ海賊だもんな」
「その時は当然、マルコが蹴落としてくるんだろ?」
「あぁ、適任だ」
「それまでにヒヨッてなきゃいいがな」
上がる笑い声に、マルコもつられる
「お前ら....自分でも何とかしようって気はねぇのかよい!」
笑い声が一段と大きくなり、やがて大騒ぎへと変わっていった
ひと騒ぎが落ち着いたところで、マルコが話を切り出す
「食糧を仕入れてぇ―――お前らなら船賃以上に働いてくれるだろい?」
翌朝、ゆぅがシャンクスの元を訪れると、そこにはマルコと数人の白ひげのクルーが話をしていた
「ゆぅ、なんと4番隊のヤツラが俺の船で料理番をやってくれるらしいんだ」
「船賃代わりだ、今回限りだよい!」
「そう、ルウが喜んでるでしょうね........あの、ね、マルコ?」
気まずさにそっと様子を窺うように見上げるゆぅを、腕を組み睨みつけるように見下ろすマルコ
「そのエメラルドを売った覚えはねぇよい」
「うん。だから、その....」
マルコの言葉にうつむいたゆぅは、意を決したように顔を上げ、まっすぐに視線を合わせる
だがマルコはプイと横を向き、ゆぅが何かを言いだす前にと「だから」と話し始め....それに慌てたゆぅも、目をギュッと目を瞑り言葉を続ける
「借り賃って事でどうかな」
「貸し賃を寄こせよい」
重なった言葉に思わず顔を見合わせる2人
「プッ....ハハハッ!」
大きく笑ったシャンクス。だが、すぐに不機嫌そうにゆぅとマルコを見る
「お前ら、仲がいいトコを見せつけたいだけだろ」
その言葉に、黙って鞄から宝石を出すゆぅ
マルコもムッとした顔で黙って受け取っていたが、次々と渡してくるゆぅに待ったをかける
「今、全部渡そうとしてんじゃねぇよい!とりあえず今回の分だけにしろよい」
「....どんだけかわかんない」
「ハハハッ!....お前らいい加減にしろっ!」
出港してゆく船の上からシャンクスがゆぅに手を振った
「土産にコメ酒買ってくるから、イイ子で治しておけよ?ちゃんと見張っとけ、マルコ!悪くなってたら4番隊の命は貰うからな!」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!