海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
とぼとぼと
空色に燃える体が、泣いている心を抱えて、空へ戻っていってしまったようで....
久しぶりに見たその姿に、アタシは胸が痛くなった
悲しそうに空を見上げるゆぅを見て、いくつものため息がこぼれる
「........不死鳥....」
ゆぅのすぐそばにいて、ただ一人その小さな呟きが聞こえたジョズは、ゆぅの背中にそっと手を置いて小声で尋ねた
「ゆぅ....お前、今....」
「え?あ、うん。ごめんね。マルコが怒るのもしょうがないけど....そんな事に構ってる場合でもないんじゃない?」
「いや、その事じゃぁ....まぁ、いい」
無意識だったのかもしれない、声に出すつもりではなかったのかもしれない....ならば、今は聞くときではないのだろう
「マルコにとっちゃぁ『そんな事』で済む話でもねぇんじゃねぇか?」
「........ごめん、ちょっとシャンクスのとこに行ってくる。今日はそのまま帰るね」
立ち上がったゆぅは、とぼとぼと波打ち際を歩いて行った
「シャンクス、アタシの鞄ちょうだい?」
クルーに取りに行かせると、どうした?とシャンクスはゆぅの頭を撫でる
「手持ちがなくてもマルコに借りればいいって言ったの。このエメラルドの代金をアタシの宝石で払うからって....」
「それで飛んでったのか。らしくねぇ事を言ったもんだな」
「だって....」
ゆぅはシャンクスの胸に額を当て、シャツを握りしめる
「マルコは、まだ....アタシのこと....」
「あのな?叶わぬ恋心をかかえたまま死んでくヤツなんて、そこら中にゴロゴロしてんだぞ?今までが特別だったんだ」
ゆぅの背中をあやすようにトントンと叩くシャンクス
「慣れない事をすんな。お前を嫌いになれる海賊がいると思うか?モテる女はつらいよなぁ?ハハッ」
「心を惑わすだけなんて....無力な事よりタチが悪いっ」
涙声で振り絞るように言った言葉
「そうやって思いやる優しさがあるから、みんな好きなんだ。海の力じゃない、それはゆぅ自身のいいところだ」
涙をボロボロこぼし声が出せなくなったゆぅの体をシャンクスはギュッと抱きしめた
しばらくして泣きやんだゆぅは鞄を受け取り、海へ戻っていく
見届けたかのように、ほぼ同時にマルコが白ひげ海賊団の元へと戻ってきた
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