海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
心配性
日に日にゆぅの滞在時間は伸びていった。それでも、波打ち際から離れる事はできなかったが
「シャンクス。もう、いいわよ?」
10日ほど経った頃。ゆぅの言葉にシャンクスは軽く眉を上げ困ったように苦笑する
「何がいいんだ?」
「これ以上は、ゆっくりとしか戻っていかないと思うの。見届けてたらおじいさんになっちゃう」
「そうか。わかった。まぁ、好きな時に出るさ....追い出したいワケじゃあないだろ?」
「当たり前でしょ、もう!海賊なんだから、行くかどうかは好きにすればいいの!」
毎日、島にやってくるゆぅ。まず、シャンクスのところへ行き、言葉を交わす
時々、ベン達も加わって話したりもするが、いずれにしても30分くらいの立ち話をしたところで「アイツらが待ってる」と、背中を押される
そのたびに「人気者はたいへん」だとか「ゆっくり話もできやしない」だとか、照れ隠しの言葉と共に立ち去るゆぅ
シャンクスたちも、ゆぅとの時間が少しでも長ければと思ってはいるのだ
それでも....
白ひげ海賊団の彼らがゆぅを待っている以上に、ゆぅが彼らとの時間を待っている
ゆぅ自身はシャンクスに挨拶をするついでにと思っているようだが、そうでないことは赤髪海賊団の誰もが気付いている事
「今日は小走りしてったな」
「よたよた歩いてたのが早歩きになったのは3日前くらいか?」
「元気になっていいじゃねぇか」
「あ、疲れたみてぇだ、止まったぞ?」
「白ひげのヤツラが走るなとかって慌ててる」
「まったく、心配性で過保護なヤツラだな」
船べりにもたれながらゆぅを見ているクルー達に影が近づく
「そういうお前らもな」
「「「ベンさん!ルウさん!」」」
「お頭もベンもだろ?あっちへ行くように言ってやってるんだからよぉ。甘ぇよな」
「ゆぅにしては素直じゃないからな。だが、態度は素直でわかりやすい。見ろ」
フッと笑ったベンにあちらへ視線を向けると、ゆぅがちょうど腰を下ろすところだった
「こっちじゃ立ち話だが、あっちじゃ着くなり座るからな」
「ベン、ヤキモチ妬いてんのか?」
「お頭じゃないんだ、そんな....」
「そんなにゆぅが大好きなお前らにはかわいそうだが、島を出るぞ」
いつの間にか甲板に戻って来ていたシャンクスが告げた
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