海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
過保護
つい言葉に力の入るマルコに、ゆぅはクスッと笑う
「戦争の朝、アタシは新世界の海に潜ってたの。ドフラミンゴが戦場にいるなって言ったから。そこでサッチに会ったのよ」
ゆぅはサッチとの時間をかい摘まんで話した
「戦争の理由をちゃんと教えてくれたのもサッチ。だからアタシは戦場に戻ったの....役には立てなかったけどね」
その言葉にジョズは首を振る
「俺達の仲間を海に還し、オヤジに歌ってくれたじゃねぇか。その前にもサッチを送ってくれてたんだな」
「自分を責める必要はねぇよい。充分すぎるよい」
「うん....わかってる。ありがと」
「だから、礼を言うのはこっちだよい」
うふふと笑うゆぅに、自然と皆の顔がほころび空気が和らぐ
しばらく話した後「帰るね」と立ちあがったゆぅは、海に向いたままでこう告げた
「サッチはホントに特別だったのよ?....だいたい、ニューゲートが未練を残すような生き方をしてきたかどうかなんて....」
笑顔で振り返ったゆぅ
「そんなの、アタシなんかよりもアンタ達が一番わかってるでしょ?」
「....ああ、当たり前だよい」
腕を組んだマルコは憮然としたように答えた
ニコニコと手を振ったゆぅが海に姿を消すと、ふぅといくつかの吐息が漏れた
「まったく、頭をかすめた程度の事にまで、きっちりと答えてかなくていいよい」
「無駄な期待みてぇな事を思わせちまった事への....まぁ、余計な気遣いだな」
「女王サマのくせに過保護な事しやがる」
「まぁ、母ちゃんだってんだから、しょうがねぇんじゃねぇか?」
一同、ワハハッと笑い声を上げる
「なぁ、サッチのやつどんな顔してたんだろうな?」
「どさくさに紛れて抱きついたりしたんじゃねぇか?」
「んで、ゆぅにぶっとばされんだな」
「死んでも懲りねぇヤツだ」
そのまま始まったサッチの思い出話
彼らの心に広がったのは哀しみではなく
亡き友のくれた温かさだった
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