海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
情けない顔
「ちょっと!」
海水が小さく盛り上がったのが見え、ゆぅの声が聞こえてくる
「ゆぅっ!」
「ちょっと!さっきのワンピース返してくんない?」
....あ
「体戻すので、精いっぱいなの!!ちょうだいっ!!」
ワンピースを振りまわしながら、「俺は服なしでも大丈夫だぞー」と波打ち際へ進むシャンクスに、頭から波が襲い掛かる
ずぶ濡れになったシャンクスの手を離れ海をただよっていくワンピースは、ゆぅのところへ辿りつくと一緒に水中へ潜っていった
「おー、ずいぶんとまた、ちっこくなったなぁ」
頭をポンポン叩くシャンクスの言うとおり、海から姿を現したゆぅは子供にしか見えない
「まだ10才くらいよ、きっと。力の使い方が掴めなくってね。海が手出しできないから、全部自分で治してるの」
そう苦笑して、波打ち際に座りこむゆぅ
ひと束長く伸びた後ろ髪は海に浸かったままで....海に触れていないとならないほどということか
「そんなんで出てきて大丈夫なのかよい?」
自分のせいで無理をさせてしまっていると思い、マルコは心配そうに尋ねる
「あんな情けない顔されちゃ、ほっとけないわよ」
ふんわりと柔らかく微笑むその顔には、先ほどのような憔悴した様子は全く感じられなかった
「すまねぇよい」
だからその顔、と言ってクスクス笑うゆぅ
「俺は....」
やっと話し始めたのにもかかわらず、そこで口をつぐんで視線を落としてしまったマルコ
俺は....何が言いてぇ?何が聞きてぇ?
ゆぅの事か?
オヤジの、家族の事か?
....俺の事か?
「ふふっ、やっぱり情けない顔」
グルグルと回る思考の渦から引き戻す声がした
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