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海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
血に溶けた愛



――― シャンクス



呼ばれた気がしてふと上を見上げると、白い鳥が空を舞う


「っ!ベンッ!上だっ、頼む!」




力なく舞い落ちた白い....ゆぅ


隣にいたベンがしっかりと抱き留めた



「....ありがと、ベン」


らしくない小さな声


「あぁ、大丈夫なのか?」


「お前なぁ?俺じゃ落としちまうかもしんねぇだろ?」


「でもね....ふふっ....ちゃんとベンを呼んでくれたじゃない?」


らしくない静かな笑いをこぼすと、ゆぅはベンに顔を向けた


「大丈夫よ?....降ろしてくれる?」


そっと地面に降ろされたゆぅは、波に漂うようにゆらりゆらりと歩き始めた






海底を歩いているかのような足取り

夢の中を見つめているような柔らかい表情

支えてやりたくても、手を差し伸べるだけで壊れてしまいそうなゆぅ



そのゆっくりとした歩みを、誰もが息を飲んで見守っていた

....墓標を見上げるマルコを除いて






「もっとちゃんと泣いていいのよ?涙が枯れるまで」


驚きの声をあげる間もなかった


前を向いたまま俺と墓標の間に立ったゆぅは、振り返らずに言葉を続ける


「ありがと、助けてくれて....お礼って言うのも変だけど、アナタ達のために別れの歌を歌うわ」



両手を胸元に重ね合わせ、しばらくうつむいているゆぅ


やがて、顔を上げ、両手を捧げるように伸ばし、大きく息を吸い込むと静かに歌い始める


そこにいる全ての者の耳に届き、心に沁み込む歌声と詞(ことば)に、流れる涙は止まらなかった




〜〜〜
君がくれた愛が僕の血に溶け

この体中を満たしている

君の愛で育った僕の心が

君の生きた証しとなる

   〜〜〜

分かち合った時間の中

ほんのわずかに与えた物で

大きく育って輝きを放つ君

その光が旅立つ僕を優しく包む

      〜〜〜

人が流す涙が海になるのなら

君の涙で海に還ろう

人が流す涙が海になるのなら

僕の涙で君を送ろう
         〜〜〜







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あきゅろす。
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