海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
ゆっくりと眠れ
「ちょっと待てよい」
静かな、だが意思の強いその声に。立ち去るはずの足が止まり、2人の腕からゆぅの手が離れる
あぁ........あの時のように
なんであの男は呼びとめるんだろう?
なんでアタシは足を止めちゃうんだろう?
立ちすくんだまま、振り向くこともできずうつむくゆぅに、足跡が近づいてくる
「なんなのだその顔は。嬉しいのか?」
「っ!アンタねぇっ....嬉しそうに、見えるのっ?」
「見えぬから聞いている。だが、あの時と同じだ」
あの時?何を言い出すつもり、ミホーク?
「俺が海賊ではないのが悪いと言ったあの時とな。俺をパートナーにしたいのに、敵に回さねばならぬと葛藤していた顔だ」
「フッフッフ、お気に入りがお供に増えて嬉しいんだろ?不死鳥なら巻き込まれても甦るかもなァ?」
「マルコは白ひげ海賊団じゃない!邪魔なだけよ、来ないで!巻き込まれたらアンタの再生能力だって、間に合うはずが....っ!」
いつの間にか目を閉じ必死になってたアタシを、ふわりと後ろから抱きしめる腕
「ゆぅ?」
なんでそんな風に名前を....不安で一杯になっている心を見透かされたようで....なだめるような響きに、涙が出そうになる
「行くなよい」
行きたく....
「忘れたの?アタシは、行くって言ったら行くのよ?」
ホントは....そんな気持ちは押さえこんでるのに、なんで心の蓋を開けようとするの?
「みんなとは、いられないんだってば!アタシはもう決めたんだから、ぐちゃぐちゃと口出ししないで!この手を離し....」
「眠りゃぁいいだけだろい?」
マルコがアタシの胸の中央に手を当てると、力が抜け視界が狭く暗くなってくる。意識がなくなるほんの一瞬前に、見えたモノ
なん、で?
アタシの、エメ、ラ、ルドが、もう、ひとつ....
「おやすみ、ゆぅ。ゆっくり寝ろよい」
悲しそうだった父上と母上の気配が安堵に変わって、柔らかくアタシを包んだ気がした
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