海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
本領発揮
ゆぅが目を閉じた瞬間、アメジストの風がゆぅを包みその姿形を元に戻す
ドフラミンゴの腕に抱かれたまま、身じろぎもしないゆぅ
わずかに静かな呼吸が聞こえ、ほっとするシャンクス
「おそらく、この状態で海に託せば....」
「俺が連れていく」
「悪いがゆぅは俺達が預かる。七武海としてここに残るお前には預けられん」
「ふざけるな、俺のモンだ」
眠るゆぅのために静かに、だが、冷たく鋭い視線を交える2人
「なるほど、契約が終わると髪や瞳の色が戻るわけか。これならわかるな」
穏やかならぬ空気の中、全く場にそぐわない言葉を発したミホークに、そこにいる全員の注目が集まる
「ハァ....まさかお前、この場を治めようとかで、じゃないよな?」
「チッ、摩訶不思議男が!くだんねェ本領発揮してんじゃねェ。ゆぅの状態がわかんねェわけじゃねェだろうが」
シャンクスとドフラミンゴの言葉に軽く首を傾げ、ミホークが続ける
「俺の時は、契約の時に何一つ変わらなかったのでな。何か変わっていたら終わりもわかったのだと思っただけだ。もっともゆぅに勝つまでは納得できんだろうが」
「てめぇもパートナーだったくせに余裕じゃねェか。勝ったからもうどうでもイイか?」
「お前達こそ、さっきから何をもめている。海に入れるなどと愚かな事を」
「お前なぁ....ゆぅを海に入れてやらなきゃ、このまま力を吸われ続けて、消えちまうだろ?」
「海に入れては力を増大させるだけだ。それとも、海中で砕ける分にはカケラを拾い集める手間がかからぬという事か?ならば初めから....」
「バカかてめぇ。何のためにエメラルドをぶち込んだと思ってやがる。俺の契約まで破棄して!」
「あぁ、そこまではよかったがな....そうか、貴様らは分からぬのだったな」
「「何がっ!」」
空気を震わせるように怒鳴ったドフラミンゴとシャンクスにも、ミホークは眉ひとつ動かすことなく続ける
「ゆぅの力なら再び大きくなっている。目を覚ますのも時間の問題....おい」
「Huuum....Boy....Why are you so chatty especially related to me?」
「いつの言葉だ?....理解はできるがな。俺がおしゃべりなどとくだらん事を」
「ゆぅっ?」
「おはよ、ドフラミンゴ。泣き損でごめん。父上と母上にも止めきれないみたい」
「だから俺は泣いちゃいねェ....」
ふふっと笑い、ひょいっとドフラミンゴの腕の中から立ち上がって伸びをするゆぅ
「もう!感動の別れをしといて、どのツラ下げて?って考えてたのに。本領発揮できて嬉しそうね。アタシの気配がわかるからって得意気にバラさないでくれる?」
ミホークへ楽しそうに不満を言い、あっけにとられている者たちを気にもせずニコニコとしているゆぅ
「たぶん、海の中で暴走したらひたすら力を取り込み続けるわね、海の力がなくなるまで。そしてアタシは海のすべてを手に入れ....みんなはアタシの事を『海』と呼ぶ」
ゆぅはおどけるように肩をすくめる
「船にも乗れず、宴もできず。しかも、溶けて一つになるんじゃなくて、海の意思たちが消えちゃうだなんて、冗談じゃないわ」
「フッフッフ、本領発揮はお前じゃねェか。どうするつもりだァ、その体?」
あ、そうだ。と思いついたように手を打ち鳴らすと、ゆぅは振り返って歩き始めた
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