海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
怨憎会苦
黒いスーツに身をつつんだ細身の男。その隣を歩くラベンダーの髪の女
目を引く彼ら2人に見惚れた視線は、ある事に気づき慌てて逸らされる
時折2人が振り返り話す相手....明らかに常人とは異なる目つき、あちこちにある傷、携帯している武器....15人ほどの海賊
自然とあけられていく道を楽しそうに話しながら歩くゆぅ。同じように道をあけられてやってくる者に気づくのが遅れた
後ろ向きに歩いていたゆぅは、前に向き直ると3歩で急に足を止める
遅れて止まったクルー達に周りを囲まれながら、ゆぅは前から来る一人の男から目が離せない
怪訝そうにそちらへ目を向けたクルー達は、小さく舌打ちをすると動けないゆぅの手を取り背を押し、道の脇へ寄っていく
何かを守るように隠す彼らの動きに、すぐそばまで来た男がチラリと目を向け....ゆぅを見つけてしまう
「そこの女、わちしの妻にしてやるえ」
歩みを止めた時と変わらず、ゆぅは顔面蒼白で荒い息のまま男を見続けている
「申し訳ありません。こちらの方は、七武海ドフラミンゴ様の....」
「何だえ、お前は?」
言った途端に銃の引き金が引かれ、その銃弾はセバスチャンの....前に立ったゆぅの肩に当たる
「ゆぅさんっっ!誰かドフラミンゴ様に連絡を!」
「面白い女がいたもんだえ」
こちらへ来る天竜人。ゆぅのあごに手を伸ばす
「私に触れるなっ!汚らわしいっ!」
「な、なんだえ、この無礼な女はっ?」
「チャルロス聖!」
ゆぅの勢いに数歩下がって、ボディーガードに支えられる
「我が国を蹂躙し、血の雨を降らせ、民の帰る場所を奪った。その身に流れる血を私は忘れんっ!」
「あ〜、そんな事は心当たりが多すぎてわからんえ。狂乱の女王以来、そんな国は数多くあったようだからえ」
くだらないといった口調で答え、チャルロスは他のクルーに向けて引き金を引く
「本当に面白いえ、この女。身を呈して、他の者を守ろうと....狂乱の女王と同じ名を持つだけのことはあるえ」
新たな銃痕を腕に受けながら、ゆぅはクルーの前に手を広げ立つ
「ミンナ、ハヤク、ニゲテ....」
「止めてくださいっ、ゆぅさん!」
セバスチャンはクルーをかばい続けるゆぅに手を掛けるが払いのけられてしまう
ゆぅさん....至近距離の銃弾でも払い落す貴女が、自らの体に当てることしかできずにいるのはなぜです?
ゆぅを助けようと動けばチャルロスに狙われ、ゆぅが銃弾を受けてしまう
クルーはもう動く事ができずにいた
それで銃声が途切れるわけではないとしても
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!