海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
新しい道への扉
『でも、この戦いは時代の流れで起こっただけのことだ。だから、ゆぅが泣いたりしなくていいんだ。世界は変わろうとしているだけさ』
そう言って頭を撫でる手の動きは、やはりドフラミンゴのものではなく、ずっとずっと遠い昔の記憶と同じもの
「でも、あたしのためって....それにJOKERが来たってことは大事な時なんでしょ?こんな悲しい事ばかりで何が大事なの?」
『気づいてないようだけど、ゆぅも変わりつつあるんだよ....どっちがどっちに影響してんだろうな』
「それって....」
『そこでくたばってる偉大なじいさんに会った頃からだ。海より人間を見るようになったろ?』
え?とJOKERの指す方を見ると、青年と並んで横たわる大きな体
「ニューゲート....あの時の悲しみはアナタが逝ってしまったからだったのね....」
『海に入り浸ることもなくなったし、俺の入れ物であるコイツのガキの時は、海にすら行かない時期もあった』
ゆぅに構わず淡々と続けるJOKER
「そんなの、たまたまじゃ....アタシにとって海は特別だもの....」
『一方で、お前を故国に連れてった男は、世界に向けてあの国へ行けと煽った。忘れられかけていたあの国を、世界中が思い出したんだ』
「ロジャーは時代の扉を開いただけよ。アタシのためじゃない。みんなのために」
『お前の扉をニューゲートが開き、行くべき道をあの日ロジャーが示した。それは時代の新しい扉であり、今日ニューゲートが確かな道として世界に示した』
ゆぅは首を横に振り、JOKERを見据える
「世界は世界。アタシはアタシよ。JOKERの想いでアタシと世界をこじつけないで。語り部はただ真実を語るのみ。創り手じゃない」
『これが真実なんだ、ゆぅ。今日、この場所で、その扉の中へ一歩踏み込んでいけばいい』
「だったらやっぱり、今日この場所で起こったこの出来事はアタシのせいってことじゃないっ!」
とうとう抑えきれなくなって叫んだゆぅの手を取り、JOKERが諭す
『そうじゃない。世界とゆぅの変わり目が重なったに過ぎないんだ。時代の流れの中ではちっぽけなことさ』
「アタシが変わるために、こんなにたくさん死んだり怪我したりっ!そんな犠牲を払ってまで変わる必要なんてあるわけないっ!」
『あの島に人が戻って新しい国ができていく。もう、ゆぅがQueenとして色んな事を独りで背負ってがんばる必要はなくなるんだ』
「やっぱり....あたしの....せいだ....」
ポロリとこぼれた涙を合図にするように、ゆぅの中から海が溢れだす
『違う。これからゆぅは、海や故国のしがらみを捨てて自由に....「JOKER!余計な事をっっ!しがらみを捨てられねェ亡霊はてめぇだろうが!」
荒い呼吸をそのままにドフラミンゴがゆぅを抱きしめる
「お前のせいじゃねェ。新しい時代は俺が望んだ事だ。何も考えなくていい。俺が連れてってやる。泣くな、ゆぅ....」
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