海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
やれる事
「終わっ....た?アタシ....間に合わなかったのね」
体の力が抜け、へたり込むゆぅ
「だって、みんなこんなに泣いてて。エースは助けられなかったってことなんでしょ?....アタシはロジャーの宝をまた守ってあげられなかった....ルージュ、ごめん」
「ゆぅ。今はパートナーがいるんだろ?昔のパートナーとはいえ、他の海賊が後手に回るのは仕方がない」
シャンクスは膝をついてゆぅに視線を合わせる
「ゆぅのせいじゃない。それよりも早く力を手放すんだ」
「ちか、ら....?そうね。できなかった自分を憐れんで泣いてる場合じゃないわね。アタシにはまだやれる事がある」
「ゆぅ?」
ゆらりと立ち上がり、シャンクスを見下ろす
「生存者はシャンクスが連れてってくれるのよね?もう、みんなこの辺りに来てるの?」
「あ、ああ。だが、一体何を....」
「斃れた海賊をこんなところにおいてはおけないわ。海の子は海に還す」
シャンクスが止める間もなく、ゆぅが宙に手をかざすと、取り巻いていた水の羽衣が大きく広がる
「止めるんだ、その力は使っちゃいけない!ゆぅっ!」
「大丈夫、海の水を飛ばして包んであげるだけだもの。今なら全然大変な事じゃない。あとはコロコロと転がって帰ってくるわ」
「そういう事じゃ、ないんだ....」
「なるべく海兵が見てない時を選んでるし。あぁ、動けないだけの子はここへ連れてくればいいわね」
しばらくして、数人の海賊が打ち上げられる
「海を越えられない致命傷の子は、アタシが死神になるわ....ごめんね、せめて眠りの中で終わりを迎えさせてあげるから」
止まっていた涙が再びゆぅの頬を伝った
「あとは、ハァ....オーズの子だけ....」
「手遅れかもしれないが、ゆぅ、ここで止めにするんだ」
「いやよ。すべての海賊はアタシの子。母として女王として、海軍の地に置き去りになんてできないっ」
ゆぅの纏う海水は力を使うほどに大きくなり背丈の倍を超えていた。黒い人影がこちらへとやって来て、シャンクスの隣に立つ
「赤髪の言うとおりだ。その力は大きすぎる。そんなこともわからぬのか」
「ミホーク....アンタには、後で話がある」
「お前が使うその力のために、能力者どもが倒れ始めている。お前は....」
「てめぇ、死んだヤツのために生きてる俺様を殺す気かぁっ!」
その言葉にハッとし、ゆぅはそんなつもりじゃ....と声に振り返る
「いっぺん、ハデにくたばりやがれぇっ!このヤロー!」
着弾の衝撃を受けゆぅの体を包む海水がすべてはじけ飛んだ
驚くゆぅの視線の先には、煙をあげた銃を構えたバギー。だが冷や汗を浮かべ、ゆぅの後ろの人物を見ている
「い、いやー、アンタ達に水をぶっかけるつもりじゃぁ」
「構わぬ。これを止めるとは、よくやった」
「ハァ....お、俺様にかかりゃぁこの程度のこと、なんてこたぁねぇんだよ」
バギーは後ろで沸き起こる歓声に勢いづく
「どうだ、まいったか、ゆぅ!てめぇが暴走したらぶっ飛ぶ前に止めてくれって、俺ぁ頼まれてたんだよ!」
「暴走?頼まれ....って、このエメラルド!」
ゆぅが無意識に手を当てた右胸に目をやると、バギーの撃ち込んだ弾が光る
「あの時、ロジャー船長に渡したエメラルドだ。あの後、それに秘められた想いを伝えるためにゆぅの母親が現れた」
シャンクスが静かに話し始めた
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