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海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
真相
「サッチ、教えて」

強いゆぅの意志

「知らせたくない」というドフラミンゴの『望み』すらかき消すほどの




「公開処刑される仲間のために、海軍本部に乗り込んでいったのは、ニューゲート?」


俯いたサッチは拳を強く握り締める



「....俺がティーチに殺られたりしなきゃ、エースが出てくことも捕まっちまうこともなかった。こんな戦争もなかった」


「エース....ポートガス・D・エース?」


「っ!知ってんのか?」


「アタシはあの子が生まれるまでそばにいたの。ロジャーが守ってほしいと願ったから」




そういうこと....


戦争を覚悟で公開処刑をしようとする理由
ロジャーの息子だから

海軍に乗り込んでまで助けに行く理由
自分の息子であり、友の息子だから

アタシに言えなかった理由
ルージュの息子だから




もう、怒りなのか、悲しみなのか、嘆きなのか、この気持ちが何なのかすらわからない


でも、なんとか....なんとかしなくちゃ




そう願うゆぅは、無意識に、その使い道も決められぬまま、海の力を全身で取り込み始めた





「お前それ。大丈夫か、ゆぅ?」


「....きっと、海にたくさん力を借りれば、みんなを助けられる」


「俺のせいで、お前まで....」


「サッチが死んじゃったのはアタシのせい。今朝まで海軍本部に居たのに真相に気付けなかった。それもやっぱりアタシのせい」


サッチはわずかに眉を寄せて、ゆぅの頭に手を置きなだめる


「そんなに何でもかんでも自分のせいにすんな....どうしようもなかったじゃねぇかよ」


「そうよ......わかった、サッチ?あなたのせいでもないって事が」


ニヤリとしたゆぅを唖然とした表情で見たサッチは、ハハッと笑い両手を上げて肩をすくめる


「あぁ、まいった。家族のいざこざも戦争もしょうがねぇって分かった....会いたかった女にも会えちまったしな?これじゃ、俺、成仏しちまうじゃねぇか」


「アタシ死んだことないから、どうなるかわからないけど。悪くはないんじゃない?」


「へへっ。でも、この戦争の結果くらいは見てからじゃねぇとな」


サッチの手を取りゆぅは微笑む


「ありがと、サッチ。教えてくれて。それにサッチじゃなかったら、この話、きっとパニックになってたと思う」


「お礼のちゅーならいつでも歓迎するぜ!....でもよ、お前、コレ、ホントに大丈夫か?」


自分の手を包むゆぅの手


その手から溢れそうな何か。それでもまだ海はゆぅに流れ込んでいる


手から視線を上げた途端、ゆぅが近づく。サッチの頬に触れた柔らかい感触


「またね、バイバイ、サッチ」


耳元で声を聞いた次の瞬間、急に生じた強い海流に乗ってゆぅは去っていった


「お前....何か、ずりぃじゃねぇかよ....」


呆気に取られたままサッチは呟いた







ゆぅを乗せた流れの名残


「戦争が終わったら、もう泣くんじゃねぇぞ!ずっと笑ってろよ!ゆぅ、大好きだぞ、ちくしょー!」


海流に乗って届けとばかりにサッチは叫んだ




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