海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
巡り来た者
アタシが中に入ればすぐに治してあげられるのに、マルコは頑なに拒んだ。不死鳥の再生の力すら使おうとしなかった
「時間はいくらでもある。今は自分でゆっくり治したいんだよい」
アタシはすぐにでもしたい事があったけど、マルコがそう望むならって、待つことにした
体と心が癒されるまでの間、アタシは当たり前のようにマルコと一緒にいて。すっかり元気になったからと、空を飛んで見せたマルコと一緒に小さな船で海へ出た
いくつ目かの島、青い空に心地良い風が吹く海の岸辺を2人で散歩している時に、ふと「今だ」って思った....アタシがしたかった事
立ち止まったアタシに足を止めて振り返ったマルコ。その目を見つめてアタシは口を開いた
「大好きよ、マルコ
....海よりもずっと....」
パートナーに言った時はこれだけで嬉しかったのに....なんだか足りない
「今までに出逢った誰よりも、もっと」
マルコにぎゅうっと抱き着いてもまだ足りなくて、マルコの顔を見上げる
「お、おい、ちょっと待てよい」
あの入り江で気づいた時から、ずっと待ってたの。もう、待てないのよ
「でもね。大好きだけじゃ足りないの......なんだろう、なんて言えばいいんだろ....ねぇ、自分で言いたいの、だから待ってて?」
「....ハァ、わかったよい」
頷いてやると、ゆぅはまた悩み始める
今まで100年以上待ってたんだ、待っててやるよい。そういう事だって期待していいんだろい?
「もぅ....アタシ、自分から言うとかなかったし、どう言えばコレが伝わるのか....」
さっきから腰に回した手がシャツを握りしめて。キョロキョロと考えを巡らせた視線が俺に向くたびに、その頬の赤みは増すばかりで
「かわいいよい」
口から勝手にこぼれちまった。そんなんじゃ言葉が足りねぇのはわかっちゃいるが....いやいや。俺は、待っててやれんのかよい
でも、真っ赤になった顔で口をパクパクさせるゆぅに、自然と上がっていく俺の口角は止めようがねぇ
「どんだけ照れ屋さんだっちゅー話だ。そーゆーのは『愛してる』って言うんだぜ♪」
その物言いに、はっとして声の方を向く。いるはずなどありはしないのだが
......サッ、チ?
抱き合う2人の......足元
小さな男の子がニコニコとしている
「そんなの、こどもでもしってるぜ?なぁ、ちゅーしねぇの?」
2人が唖然として見ていると、女の子が駆け寄り男の子の頭にゲンコツを落とす
「あんた、じゃましちゃ、だめでしょっ!なんで、でてっちゃうのよ」
「えー、だって、もじもじしてるだけで、ちっともよぉ....だから、おれが、てつだってやろうかと....いてっ」
男の子は女の子に引きずられ、小さな茂みの向こうへ連れて行かれる。また別の女の子がひょっこり顔を出す
「つづきをどうぞ!」
「できるかよいっ!」
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