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海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
親子
偶然舞い降りたこの島は、一日見回ったところ無人島らしい。国があってもおかしくはないような広い島なのだが


高台の石垣のような所に座り、何の気無しにそこから続く森と浜辺を眺めていた


と、深い森の緑の縁から現れた鮮やかな色


「相変わらずかよい....ドフラミンゴ」


小豆ほどのピンクの隣に、米粒ほどの小さな影、そちらへ向かうボート



だが、砂浜の中ほどで歩みを止め向かい合う2人....ドフラミンゴが銃を額に突き付けている相手は....少年?


急にソコの情景がはっきりと見えた事を不思議に思っていると、ドフラミンゴは少年に銃を渡し自分の額に当てさせる


「何やってんだよい」





カチン


何の躊躇いもなく少年が引いた引き金


「随分と簡単に引くじゃねェか。フッフッフ、ココに来ても結局意思のねェ人形のままか、小僧」


少年から拳銃を受け取り、再び彼の額に当てる


「死ぬかもしれねェのに、顔色ひとつ変えやしねェ。ロシアンルーレットにゃァ、1発『当たり』が入ってンだぜ?」


同じように簡単に引いた引き金....これも『ハズレ』....残りは半分の3発。自分に『当たる』確率は少年の2倍


「てめェの番だ。さっさとしろよ?小うるせェ、セバスチャンが来る前になァ」


少年はドフラミンゴの額に銃を当て、撃鉄を起こす。引き金を引きかけたところで、動きが止まった


「アァ?どうした、当たりか?よかったじゃねェか」


ニヤリと大きく嗤うドフラミンゴ


「血の半分が同じってだけだ、気にすンな。そういやァ、俺もてめェと同じ頃に初めて人を撃ち殺したんだったな。もっとも、コレを使ってだが」


ドフラミンゴがゆっくりと手をかざして指を動かすと、少年の震えが止まる


表情のない瞳のまま、小さく首を横に振る少年


「俺を撃ち殺すなんて、華々しい海賊デビューじゃねェか....フッフッフ、じゃあな」


離したはずの人差し指が再び引き金にかかっていく


「お止め下さいっ、ドフラミンゴ様っ!!」


サングラスの奥からチラリと海を見ると、ボートから飛び降りるセバスチャンの姿。不自然なほどに飛び散る水に気を取られた瞬間に銃声が響いた




砂浜に落ちた拳銃
少年の虚ろな瞳から落ちたひとすじの涙
目の前のドフラミンゴから落ちたサングラス


少年と同じ色の瞳を細め、舌打ちをする


「ガキにくだんねぇ事させんじゃねぇよい。死にてぇならてめぇで死ねよい」


「フッフッフ、俺のガキをどう『しつけ』ようが俺の勝手だろうが」


マルコは驚いて少年を見るが、なるほど素顔を見せたドフラミンゴによく似ている。ただ対照的な、偽りの笑顔と感情のない瞳


「ドフ....ミ....ゴさ、ま」


弱々しい声に2人が海に目を向けると、大蛇のようにセバスチャンを締め上げる海の水


「あれ、は....」


頭を掠める記憶のカケラを捕まえようと、顔を歪ませるドフラミンゴ


その様子を見てゆっくりと振り返る少年。瞳が海の情景を捉えた時、親子の脳裏に映し出された遠い記憶


―― この子は我等と共に....
―― やめろ!その子を返せ!王妃を放せ!


瞳に怒りの灯がともり、海へ駆け出す少年。驚くドフラミンゴ


「やめろ!母さんを放せ!」


「自分で動きやがった....フッフッフ、赤ん坊以来初めての『おしゃべり』じゃねェか」


少年は海水に突っ込み、母、セバスチャンの体を抱き着くように捕まえる


その途端、何事もないように落ちた海水


「うふふふ、懐かしい!『やめろよ、はなせよ』って言ったピーコックそっくり!ね、覚えてる?ドフラミンゴ」




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あきゅろす。
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