海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
不死鳥
ここへ来て3度目....いや、買い出しを含めれば4度目の船出を見送った
海へ....世界へ....
沸き上がる想いは、隣に並んだゆぅの影響などではなく、単にゆぅしか見ていなかった自分が見えていなかっただけのこと
「次は俺たちだよい」
えっ?と見上げてくるゆぅに視線だけ向けるマルコ
「乗りたきゃお前も....」
言いかけたところで、ゆぅは人波に飲まれた
おもむろにこちらへやって来たジョズにゲンコツを喰らったが、ゆぅを叱り飛ばすコイツに、俺の「すまねぇよい」という言葉が届いたか定かではなかった
今、必要なモノ
ゆぅにとって、自分にとって
今、この手に捕まえていなければ、いつ海に消えてしまうか分からない
そんな焦りが消えれば、多くのモノが見えるようになった
もちろんゆぅを諦めたのではなく、ただ執着しなくなっただけ
夢も
望みも
成し遂げたい事も
手に入れたい宝も
一つではないのだから
たった一つの固執を手放すだけで、これほど多くのモノを手に入れられる予感が溢れるとは
それがありのままの自分への自信となり、ゆぅと想い合える確信となる
「まったく、知れば知るほどハードルが上がっちまうねい」
2人の間にあるもの、起こるだろうこと....『同類の情』も『家族愛』も分からないらしい『愛』も
障壁を壊す度に小さな宝が見つかるようで、何もかもが楽しみでしかなかった
それは遠く離れようが、どこの誰といようが変わらない事だから....
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