海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
家族
「「「ゆぅ〜っ!」」」
マルコと並び、遠くなる船を見送っていたゆぅを、白ひげ海賊団が取り囲む
「無事でよかった!」
「ちゃんとマルコから離れたしな」
「ああ、あのまま消えられちゃあ、たまんねぇよ」
「またパートナー見つけちまうしよ?」
「ドフラミンゴのヤツに抱きついた時はダメかと思ったぜ」
「でも、今はここにいる!」
「とにかく、よかった!」
もみくちゃにされながら、むず痒いような照れ臭さと申し訳なさに、ゆぅはへらりと苦笑いをする
「えへへ....心配かけて、ごめんね?」
「笑い事じゃねぇ!」
空気を震わせる声が、弾き飛ばされていたマルコの方から聞こえた
「ジョズったら、そんなに怒んないでよ〜」
「この一週間、どんだけ心配したかホントにわかってんのか!この一日がどれほど長かったか!」
ションボリと俯いてしまったゆぅ
「....お前ぇはゆぅの父ちゃんか!」
重い沈黙に耐え切れずに上がった叫びに笑い声が沸き起こる
「父上だったらやりたい事やって怒ったりしないもん。きっと『今度、鳥になったら乗せてくれ』とか....」
「ゆぅっ!」
ボソボソと呟いたはずの言葉はしっかりとジョズの耳に届いており、ゆぅは再び肩を竦める事になった
「しょうがねぇよい。ゆぅの父親は赤髪に輪をかけたようなヤツだったからよい」
マルコはため息を一つ吐き、ジョズの背中に手をかける
「というわけで、ジョズはゆぅの母親だよい。悪ふざけのゆぅと父親を一言で黙らせてたからねい」
大爆笑と「母ちゃん」の連呼の中、苦虫を噛みつぶしたような顔のジョズの前にゆぅが歩み寄る
「ホントにごめん、ジョズ....あの....母上みたいに叱られるのはちょっと....」
オロオロするゆぅに驚く一同
「せめてニューゲートくらいにお願いします」
ぴょこんと頭を下げたゆぅに静けさが広がる
「俺たちはゆぅにとっちゃあ故郷の国と同じらしい....ホームシックになるほどに、だろい?」
マルコに注目が集まり、ゆぅは驚きの目で見上げる
「なん、で、それを?」
「だから遠慮なく家族にしてやりゃあいいよい」
歓声を上げる家族たちを満足そうに見たマルコは、まだ見上げてくるゆぅに向いて答えた
「ドフラミンゴに吹っかけられたよい。どうせ俺もJOKERみてぇに....家族のままじゃねぇのかってよい。まったく、知れば知るほどハードルが上がっちまうねい」
そう言って頭を撫でるマルコの笑顔がなぜかとても嬉しそうなのをゆぅは不思議に思いながら、温かいあの『同類の情』が胸に広がるのを感じていた
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