海の青と月の気持ち 〜 QUEEN
月の神殿
「オイ、JOKER。てめぇの1000年以上ってのはどういう事だ?勘違いじゃねェが歴史と合わねェ」
「それは....「それは、最果ての島がアタシたちの国じゃないからよ、きっと」
「気付いてたのか、ゆぅ....」
驚くJOKERたちに、少しだけ寂しそうな笑顔で頷くゆぅ
「何、言ってやがる。お前だって里帰りしてエメラルドを持ち出したんだろうが」
「あの島だけがアタシの国。最果ての島はアタシの国の本島じゃない。ミホークとの旅でいろんな遺跡を見て....歴史がおかしかった。だから、多分アタシはこの世界とは別の人間だって思ったの」
「『狂乱の女王』はお前じゃねぇのか」
「あれはゆぅ。だが、そんなものはここではお伽話、昔々のどこかの話だ....世界はいくつかに分かれたりくっついたりしながら流れている」
ゆぅはまっすぐに父を見ている
「国を落としたのが同じ血筋の者たちだった。色んな偶然で、あの時、民と島が引き寄せられたんだろう。『一族』もたまたまこちらとあちらで同じ文字を選んだだけの事だ。一つになってしまえば、もう区別もつかない」
「違うのは、アタシとあの島だけ....」
「この月の神殿もよ、姉さま。海が姉さまを逃がすために、この神殿で月と一緒に世界を動かした。だから私たちはココで姉さまを待っていたの」
「そして海は全ての世界でつながっているのです。合わない時間はゆぅが海を通って他の流れの世界で過ごしていた時間です」
「当然、俺もそっちに行ってたからな。でもゆぅは、ここでしかパートナーを見つけなかったんだ。他では夢を一緒に追うだけだった。ここは特別、時間を飛び越しただけで、同じ世界なんだと思うぜ」
静かになった神殿。その静けさを破ったのはいつもの調子のゆぅ
「こんだけマトモじゃないんだから、いつでも不死鳥になるのをやめればいいからね」
「多少マトモじゃねぇ事が増えたくらいどうってことねぇよい。もとからマトモとは思ってねぇよい」
「ちょっと!?」
笑い声と共に再び神殿の中が温かい雰囲気に包まれた
「ふふふ。さあ、ゆぅ。そろそろ時間ですよ」
「姉さまはもう少し、素直に甘えればいいと思うの....1000年の意地はなかなか解せないとは思うけど、うふふっ」
「もう、ROUGEったら....でも、忠告は受け取っておくわ。まぁ、気が向いたら1000年かけてやってみてもいいかもね」
「ゆぅ、お前はお前のまま自由にな。ま、俺の娘だから大丈夫か、それは。ハハッ」
「うん!アタシが言い出したらきかないのは知ってるでしょ?父上譲りの『自由が信条』な性格のおかげで、きっとこれからも楽しくやっていけるわ。母上の『人の夢を映し出す』目のおかげで、世界はキラキラに輝いてるし」
「叶人としては多少強引すぎな感はありますけどね。でも、父上の言うとおり、あなたはあなたなのだから。叶人や女王としての責任を感じる必要はありませんからね....ふふっ、性格上、仕方がない程度にしておきなさい」
「ありがと、母上。アタシ....みんな大好きよっ!」
朝日に照らされ、霞んでいくように神殿はその姿を消していった
「あれ?ちょっと、なんでそれをマルコが持ってんの?」
「ゆぅの面倒をみてやる礼だよい」
「アタシ面倒みてもらうなんて、言ってないし!返しなさいよ!」
「これは妹から直々にもらったんでねい。いつか気が向いたら見せてやってもいいよい」
「何ですって!」
神殿を去る間際、『あの、これ』とROUGEがマルコに差し出したのは、あの巻物
『これには今までのパートナーの....』
「ああ、知ってるよい。これを俺に?」
『はい。もう使う事はないでしょうけど』
マルコは巻物の外装に書かれたメッセージに気づき、ROUGEの頭を撫でた
「確かに、受け取ったよい」
そう、いつかゆぅを本当に手に入れて、越えられた時に見せてやるよい
〜〜〜〜〜
海と月と守護者たちの想いを空に託す
水平線を超えた2人に世界の祝福を
〜〜〜
「選択」
End.
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