短編集
E
机の横に通学鞄を引っ掛け、席に座りながらケータイを開く。
受信ボックスを開いて見てみると、やっぱりヨウさんからメールが来ていた。
それも、2件も。
あちゃ〜。
しまったぁー、寝落ちしちゃったよ。
恐る恐るメールを開いてみると、まず1件目は、もっと仲良くなりたいというような内容だった。
2件目は、俺から返信が来ないことに不安を抱いたらしく、こっちの機嫌を伺うようなもの。
俺は早速返信メッセージを作成した。
『件名:ごめんね
昨日寝落ちしちゃって(汗
返信できなくてごめんなさい。
僕も、もっとヨウさんと仲良くなりたいな?』
……うん。こんなもんでいいでしょ。
どうせばいばいきーん☆になるし、暇つぶしだし。
…俺って、我ながら性格悪いなぁ。
そんなことを思いながら、今度は他校の女子とメールをする。
最近仲良くなった、百合高の真由美ちゃん。
すごく可愛い子だけど、あれは絶対裏があるタイプだよね〜。
ま、可愛いからいいけど。
そうしてかちかちケータイをいじる。
「──で、あるから、ここの公式は……」
眠くなる朝一発目の授業は、数学。
俺、数学とか嫌いなんだよねー。
公式とか面倒くさいし、計算とかダルいし。
そんなんやってる暇あったらケータイいじってる方がいいっしょー。
だから、俺は机の下で上手くバレないようにケータイをカチカチといじっていた。
女の子とのメールはもちろん、チャットやツイッターなんかもやってる。
そうやってケータイをいじっていると。
「……お?」
メールが来たから開いてみれば、それは女の子じゃなかった。
ヨウさんだ。
どれどれ?
メールを開いてみると、そこにはやっぱり絵文字も何もない真面目な文が書かれていた。
『件名:そっか
避けられていた訳じゃないんだね。よかった。
今、メールして大丈夫?今何してるの?』
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