短編集
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──俺は、なんてバカなんだろう。
じぃっと、暗闇の中光る携帯の液晶画面をガン見する。
夜。草木も眠る丑三つ時と呼ばれるこの時間帯。
俺の心臓は、バクバクと鳴っていた。
心臓がヤバい。
いや、ときめきとかそんな甘いもんじゃなくて。
むしろ背中がさあっと冷たくなっていくような、ホラー映画を観ている時のような高鳴り。
のどが渇く。
携帯の画面から目が離せない。
──ほんとに、なんで俺はこんなにバカなんだろう。
カチコチと、壁掛けの時計の音だけが響く真夜中。
俺は、布団の中で凍り付いていた。
──遡ること30分ほど前。
2次創作をメインとしたBLサイト見たさに、メルマガに登録した俺。
本当は17歳なのに18禁のサイトを見ようとしたら、なんとパス制だった(みんなは真似しちゃダメだよ!)。
こちらのメルマガに登録して下さればパスを教えますって……。
もちろん、即登録した。ばっちりメール送りました。
だって、見たかったんだもん、18禁。
立派な青少年ですもん、俺。いろいろと、してみたい見てみたいなお年頃なんだもん。
まぁ、だからちっとも疑いもせずぽちりぽちりと登録した訳です。
途中、年齢や話したいジャンル、在住している都道府県など訊かれて、年齢以外は正直に答えた。
「年齢、年齢か……。……25でいいや。うん。ジャンルは、漫画、アニメ、ゲーム。在住は東京都」
ブツブツと一人夜中のベッドで呟きながら、項目を埋めていく。
──あああ。
今思えばこの時、違和感に気付くべきだったんだ。
なんでパス手に入れる為に、話したいジャンルとか都道府県とか答えなきゃいけないんだ。
とにかく、この時の俺は怪しむべきだった。
だけど、バカな俺は怪しむこともせず、登録し終えた後、パスが届くのをほくほくと待っていた。
まだかなあ、まだかなあ。
早く読みたいなぁ。
最近、アニメが始まって爆発的な人気が出たバスケ漫画。
え?みんな知ってる?
そう!あの、色にちなんだ名前の人達が活する漫画さ!
腐ってる人にはたまらないよな。特に黄色の人が俺は好きだ。
腐腐腐……。
とにかく、俺は2次創作のBLサイトを見ようとしたんだ。
それだけだったのに。
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