短編集
A
「晃太、俺もしかして何かした?」
素っ気ない反応をする晃太に、途端に不安げな目を向けてくる冬斗。
「何でもねえ。ただ、寝不足で眠ぃからさ。俺、ただでさえ朝弱いじゃん?」
そう言って笑ってみせると、冬斗はまだ何かつっかかるようだったが、ようやく晃太から離れた。
「そっか。なんかあったのかと思った。てか、朝弱いのなんていつものことだろ」
そう言って笑う冬斗に、ほっとする。冬斗の笑顔を見ながら、こっそりと小さく溜め息を吐いた。
(……言えない)
晃太は、昨夜見た夢を思い出して俯く。
(前世の夢見て気分悪くなった、なんて、言えるわけねえよ……!!)
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!