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星空の瞬き
宇宙の広さ
ご飯を食べ終えて食後の紅茶を錫也が淹れてくれてそれを飲みながらも会話が続く。
すごく帰りたいんだけれど、そんな雰囲気では無い。


「ねぇ、そういえば哉太くん、最近」
「なぁ、星羅。お前、哉太くんって何か他人行儀ぽくないか?」
「あ、そうだよね。星羅ちゃん、錫也にもくん付けだよね。颯斗くんは呼び捨てなのに。」


哉太が疑問に思っていたことを言うとそれに月子も続く。


「え…ダメかな。」
「いや、ダメじゃねぇけどオレ達幼馴染だし…」


嘘。幼馴染なんて形だけ。


「そうだよ。星羅は俺達に頼ってもくれないしなぁ。少し寂しいよ。」


全然そんな素振り見せてなかったじゃない。


「私達、昔はいつも一緒だったじゃない。」


ぷつん。私の中で何かが切れた音がした。


「あ、そうだ。今度遊びに「だまれ…」…え?」
「星羅…?」
「だまれって言ってんのよ!」
「星羅、落ち着いて下さい。」


私が月子に殴りかかりそうなのを颯斗が止める。


「あんたに…月子に何が分かるって言うの!?私の境界線に土足で入って来ないでよっ!」


錫也くん、哉太くんと呼んでいるのは私と3人の見えない境界線。何も本音が言えない私の精一杯な抵抗。それでもって月子と被らない為の手段。


「あんたに…今まで騎士に守られてきたマドンナに守られてきた無知で純粋な月子になんて…はぁっ…はっ…っ…」
「星羅。落ち着いて下さい。大丈夫です。落ち着いて息をして。」


息が苦しい。頬を伝う熱いものは息が出来ないことが原因なのか。それとも…


「ひゅう…こん…ご…っ…一切わた…しに関わるな…」
「喋らないでください。今星月先生を呼びましたから。」


暫くすると琥太郎先生がやって来て、星羅に薬を吸わせて保健室に運ぶぞと行って星羅を抱きかかえて屋上を出て行った。


「なぁ、星羅はもしかして喘息なのか…?」
「おや東月君。知らなかったのですか?」
「あ、あぁ。いつからなんだ」
「2ヶ月前からです。」
「入学してからすぐなの!?…どうして私達に教えてくれなかったんだろう。」
「さぁなぜでしょうね。僕は星羅では無いので分かりません。」


大体想像はつきますけれどね。なんて颯斗は心の中で呟く。教えてなんてあげません。僕はそこまで出来た人間ではありませんから。


「けどなんなんだ星羅のやつ。」
「まぁ、双子なんだから姉妹喧嘩だってするさ。」
「わ…私何か言っちゃったのかな…後で謝ってくる…!」


あぁ、本当に呑気な人達だ。


「今回のことを余り軽く考えない方が良いですよ。」


そう言って颯斗は失礼します。ごちそうさまでしたと言って屋上から出て行って星羅達を追いかけた。


(宇宙の広さ)
(それは虚無感に比例する。)



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あきゅろす。
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