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星空の瞬き
沈み続ける
生徒会室を飛び出した星羅は廊下を走り続けた。目は涙でぼやけでいて前が見えていなかった


…故にぶつかってしまった。


星羅は跳ね返されて尻もちをついてしまった。
一瞬何が起きたか分からなくなったが、大丈夫?ごめんね。その言葉でぶつかってしまったというのに気付く。


顔を上げると優しそうな先輩が立っていた。ネクタイが青色なので2年生だと気付き、昨日の出来事があったので身構えるが、全然声が違った為、直ぐに警戒を解く。


「大丈夫?泣いてるよ。…一樹が原因なのかな…。…僕で良ければ、話を聞かせてくれないかな。」


私が何もしゃべらないのを見ると、ほら、女の子がそんな所に座らないの。と言って立たせてくれた。


それから、自己紹介をしてくれた。彼の名前は金久保誉。2年西洋占星術科らしい。…金久保…?聞いたことがある名前だ。それも月子の口から。


「弓道部の副部長なんだ。宜しくね。」


それを聞いた瞬間、手を払う。でも彼の顔を見ると、全然怒ってもいなくて。むしろすこし悲しい顔で笑っていた。どうしてそんな顔するの。どうして。なんで。


「大丈夫だよ。大丈夫。」


その大丈夫という言葉に何故か安心してしまって。


私は初めて悲しい以外の涙を流した。


☆★☆★☆★
私はずっと昔から姉である月子に嫉妬してました。


屋上に来てから私はぽつりぽつりと話始める。私の過去を。私の抱えていたものを。途中で涙ぐみながら。青い空を見上げながら。


「…ただ羨ましかっただけなのかもしれません。でも…」


話し過ぎたかなと思い、隣にいる誉をチラッと見ると彼は真剣な顔をして聞いていた。そんな彼にとても安心してしまう。あぁ、私の居場所があるって。


一通り話し終えると暫くの沈黙が続く。そして、彼は言った。


よく今まで耐えてきたね。もう1人で抱え込まないで良いんだよ…と。


その言葉に私の視界はまたぼやけてくる。私はその一言が欲しかったのかもしれない。


彼に頭を撫でられて居ると、ガチャッと屋上のドアが、開いた音がした。そして私は入って来た人物に目を見開く。


入ってきたのは昨日の男子生徒達。彼らは私を見てにやりと笑う。


「こんな所に居たのかよ。星羅ちゃん。ね、遊ぼうよ。」


そう言って私の腕を掴む。


「何やってるんだ!!彼女が嫌がってるだろう!!その手を話せ!!」


星羅の腕を掴んでいる男子生徒の手を払い除けながら誉は怒鳴る。しかし、相手の男子生徒の数の方が明らかに多く、有利である。直ぐに星羅は誉から離されて連れていかれそうになる。


1人で抱え込まないで良いんだよ


先程星羅が言われた言葉を思い出す。


「…金久保先輩、助けて…」


初めての助けの言葉は彼に届いただろうか。


それから世界が真っ暗になったーー


(助けてよ)
(沈み続ける私を)






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