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「!!」

『来たな』



山崎と取り留めも無いような話しをだらだらと話していたとき、




・・
ソレは、唐突に来た




「っ、山崎伏せろ!!」


「え?」



どうやら山崎は突然の俺の言葉に着いていけなかったらしく、なんで?といった風に首を傾げた。


その危機感の無い反応に、俺は苛立ちを隠そうともせず盛大に舌打ちをし―――



「どうしたの和泉く、っうわ!!」



―――もう目前まで迫ってきていたソレを回避するべく、思いっきり山崎を地面に押し付けた。

ぐえっとカエルが潰れるようなくぐもった奇声が聞こえてきたがそこはあえて無視し、少し余裕が出来たところでようやく俺達の頭上すれすれをかっ飛んで来やがったソレをスッと見据えた。



「…なんだ、妖のなりそこないか」



そこには闇に混じり、今にも空気に溶け込んでしまいそうなただの残留思念がいた。見れば時折幾つもの眼球がぎょろりと蠢いているのが分かる。


こいつらはそう手強くはないが、何しろ人間の負の感情から削ぎ落とされた靄のようなモノ。

ちゃんと始末しなければ半永久的にこの世をさまよい続けるというなんとも微妙で厄介な代物だ。


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