19 「じゃあ桜井は山崎の隣に座ってくれ。山崎、手をあげろー」 先生がそう言うと教室の後方からはーい、と妙に間延びした声が帰ってきた。 そっちの方に視線を向けてみれば、ほこほこと笑顔を浮かべながら嬉々として手を上げる『山崎君』がいた。 「……………」 『…なんというか……お前が最も苦手としそうなタイプ「(言うな…!!)」 とりあえず突っ立ったままだと悪いから足を踏み出し、山崎の方へ歩み寄る。 好機の視線がむず痒いが、負の感情でないだけ随分とマシだ。 「…よろしく、山崎君。」 「うん、よろしくね。和泉君!」 いきなり名前呼びかい。 あああ左後ろではさくらがきらっきらした目で見てくるし、目の前では山崎が空いてるかも分からない目でじっと見てくるし…! とりあえず取り繕うようにさくらへ笑みを返し、すとんと自分の席に着いた。 ←→ [戻る] |