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そして、ついにこの日がやってきた。





俺はまだ若い教員に呼ばれて、ざわつく教室へと一歩足を踏み入れる。



丁度黒板の真ん中あたりに立つと、担任―――寺田先生が少しかがんで俺と同じ目線に立ち、微笑みながら白くて真新しいチョークを手渡してきた。

俺は先程廊下で聞いた打ち合わせ通り手に取ったチョークでかつかつと自分の名前を書く。


ことりとチョークを置くと、さっきとは打って変わりしんと静まった教室に期待や好奇心の眼差し……


その視線に臆せず、俺はにっこりと微笑んだ。



「今日からこのクラスでお世話になることになった桜井和泉です。どうぞよろしくお願いします。」



長年培っていた愛想笑いをまさか小学生相手に使う日が来るとは思ってもみなかったが、どうやら効果の程は上々らしい。

皆一様に好奇心やらなんやらのこもった熱い視線を俺に向けている。…うん。


「(ちょ、ちょっと気合い入れすぎたかな…!)」

《自業自得だな》


どうせ俺が悪かったよ!
上から目線であざ笑う麟にいらいらしつつ、俺は先生を仰いだ。


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