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三空小説
理由
久方振りの宿に俺たち皆テンションが上がっていた。

その証拠に悟浄曰く八戒の黒笑を今日は一度も見ていなくて、悟浄もなんか妙に俺に(気持ち悪いくらい)優しくて、三蔵は良く見なきゃ分からない程だけど、眉間の皺が少なくて、俺もいつもより気分が良かった。


なので俺は少し調子に乗っていつもなら聞けない質問をしてみた。

「なぁ、三蔵。もし俺が死んだらどうする?俺の事忘れる?」

三蔵は新聞の活字を追うのを止めて俺の目を真っ直ぐ見ながら答えてくれる。

「なんだ?もう死ぬつもりなのか?」

「そんな訳ねーだろっ。
例えばの話だって!真面目に答えてよ!」

「俺は真面目に答えてるつもりだが?
それよりお前はこんなとこでそんな簡単に死ぬつもりなのか?、と聞いているんだ。」

紫暗の瞳が俺を射ぬかんばかりの勢いで俺を見つめる。
呼吸するのが一拍遅れたがなんとか答える。

「、だからっそんなわけっ、」

「じゃあ死ぬな。死んでも死ぬな。」

「三蔵、それ意味わかんねー」

三蔵の答えの滅茶苦茶さに笑いそうになるのを堪えて三蔵を見やる。
「うるせーんだよ。猿が。俺の記憶力は良くないからな。
せいぜい忘れられないように死ぬ気で俺についてこい。」

分かったな?悟空、と言われ、滅多に呼んでくれない名前を呼んでくれたのが嬉しくて満面の笑みで「おうっ!」と返事した。


忘れられない記憶
(ただ、てめぇが死んだとしても記憶の片隅に、なんてちゃっちいことしねぇ。
ちゃんと記憶のど真ん中に、いつまでも居座らせてやるよ、なんて事、絶対に言ってやらねぇけどな。)
(三蔵、記憶力悪いのか。悟浄には内緒にしといてあげよう。)




 

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あきゅろす。
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