三空小説
好き。だから好き。
三蔵が俺を撫でる大きな手が好きだ。
三蔵がふとした瞬間に笑うときの顔が好きだ。
三蔵の暖かい背中が好きだ。
三蔵の太陽みたいな髪の毛が好きだ。
八戒にそう言ったらふわりと笑って悟空は三蔵が大好きなんですね。って言われた。
俺はちょっと赤くなって、おうって返事した。
そしたら、それ三蔵に言ってあげたらどうですか?って言われたから少し恥ずかしいけど三蔵のとこに行った。
* * * * * * *
「三蔵ーっ!」
「うるせぇ。何の用だ猿。」
三蔵は相変わらずの仏頂面(悟浄が言っていた)で机の書類とにらめっこしていた。
「用ってゆーか……………」
「用じゃないのか。なら出てけ。俺は今忙しいんだよ。」
何故だか今日は機嫌が悪いらしい。
いつもならまだ出てこない銃が既に俺の額を狙っていた。
「わーっ!ゴメン!用ならあるからっ!」
「さっさとしろ。」
三蔵はため息をついてやっと書類から目を離して俺の目を見てくれた。
それが少し居心地悪かったけど、ポツポツと少しずつ、小さな声で話しはじめた。「えとね、三蔵が俺を撫でる大きな手が好きだ。
三蔵がふとした瞬間に笑うときの顔が好きだ。
三蔵の暖かい背中が好きだ。
三蔵の太陽みたいな髪の毛が好きだ。」
全部言い終わる頃には俺の顔は茹でタコみたいに真っ赤になっていた。
三蔵は下を向いているので表情は読み取れない。
「おい猿。」
三蔵はしばらく黙っていたけど下を向いたまま話しかけてきた。
「お前、それ言ってて恥ずかしくないのか?」
「はっ、恥ずかしいに決まってんじゃん!
八戒にね、これ言ったら三蔵にも聞かせろって言うから……………」
最後の方はゴニョゴニョ言いながらまだ下を向いている三蔵を見た。
「なっ……………おまっ、八戒にもそれ言ったのか!?」
凄い勢いで顔をあげた三蔵を見て俺は驚愕した。
「言ったけど………………
てか、さんぞっ……………
顔、真っ赤だよ?」
「……うるせぇ。てめぇだって真っ赤じゃねぇか。馬鹿猿。」
三蔵はそうか、八戒に言ったのか、と言いながら俺の好きな大きな手で顔を覆っていた。
「三蔵!」
心配になって三蔵を呼ぶと何故か俺の真ん前に立った。
「三蔵、大じょう……」
「いいか、猿。一回きりしかいわねぇから耳の穴かっぽじってよぉく聞きやがれ。」
「ぅえ?分かった。」
それから一拍おいて三蔵は紫暗の瞳で俺を見て言った。
「悟空、好きだ。」
一瞬何が起きたか分からなかった。
三蔵が、好きだ、なんて。
「ええぇえええぇえええ!?
嘘っ!?三蔵、もっかい!もう一回言って!」
「馬鹿猿。一回しかいわねぇからっつたじゃねーか。」
三蔵の顔は俺に負けず劣らず真っ赤でそれを見てたら心がキューッてなった。
三蔵からの告白は初めてで、凄く嬉しかった。
本当に嬉しくて八戒に報告しに行ったらなんか黒い笑みでそうですか!これから楽しそ………じゃなくて良かったですね!
って言われた。
三蔵が俺を撫でる大きな手が好きだ。
三蔵がふとした瞬間に笑うときの顔が好きだ。
三蔵の暖かい背中が好きだ。
でも、一番好きなのは三蔵。三蔵の全部が好きなんだ。
俺の細胞も何もかも全てが三蔵の事が大好きなんだ。きっと俺は何回生まれ変わっても三蔵を見つけだして何度でも三蔵に 恋 をする。
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