三空小説
明るいお題でシリアスな話。
「金、ぜん」
「悟空、」
そんな、やさしい声で俺の名前呼ばないでよ。
「悟、くう」
「嫌、だ」
いつもみたいに呼んでよ。
そんなやさしい声で呼ばないで。
「悟空、最期の話、くらい、聞け」
「やだっ、いかないで、金、ぜっ………俺を、一人にしな………でっ………最期、だなんてっ…………言わなっ…………で」
「悟空、じゃあな、」
「嫌っ…………………嫌だァァァァァァ」
(やさしい声で呼ばないで)
▼ありがとうを君に
こんぜん、俺、こんぜんが居なかったらこんなに楽しくなかったと思う。
こんぜんが居たから天ちゃんにもケン兄ちゃんにも会えた。
太陽が綺麗だ、って思えた。
桜が綺麗だ、って思えた。
これも全部こんぜんのおかげなんだ。
こんぜん。色々教えてくれてありがとう。
本当にありがとう
どこに居ても、ずっと大好きだから。
(ありがとうを君に)
▼見上げた青空
花喃が死んでから空、という物は極力見ないようにしていた。
空を見ると、自分がとてつもなく汚く見えるから。
空を見ると花喃を思どんなツラい事があっても夜はあける。
明けない夜など、ない。
たとえどんなに祈っても夜はあけるのだ。
(まだ、俺は生きてたのか。)
(まだ、僕は生きている。)
(あぁ、まだ俺は生きている。)
(まだ、死ねねぇ!三蔵が死ぬまで、絶対死なない。)
それぞれの思いをは胸に。さぁ夜はあけた。出発の時間だ。
(さあ、夜は明けた)
▼ハッピーエンド
「大丈夫ですか、悟浄?」
「ああ。ちと染みるけどな。」
「あんな無茶するからですよ。」
「そーゆーお前だって傷だらけじゃねーか。他人の事言えねーぜ?」
そうですね、、と困った風な笑みを八戒は悟浄にむけて言った。
「ったく、なんか今日は皆調子悪いな?」
「そうですね。僕らだけでなく三蔵たちまで怪我するなんて。」
今まで煙草を吸っていた三蔵が睨みをきかせて八戒をみやる。
「うるせぇ。」
暫しの沈黙の後、今まで黙っていた悟空が口を開いた。
「なぁ、今日はさ、たまたま軽い傷で済んだけど、これからはもっと強い刺客が来るかもしんねーじゃん?」
返答は要らないと判断したのかそれとも話を聞いていないのか皆無言で悟空の話に耳をかたむける。
「そしたらさ、俺達無事でいられるかな?
皆で天竺に行けるかな?
一人欠けるとか、そーゆーの、無いよなっ!」
後半は泣きそうになりながら叫ぶ悟空。
悟浄も、八戒でさえもかける言葉がなく、呆然としているのに三蔵は悟空の側まで歩みよった。
「おい、悟空。」
「な、何………」
スパァァァァン
三蔵の懐からハリセンが炸裂した。
それを見ていた八戒と悟浄は固まった
((ここでハリセン使う………?))
「いった………何だよ!人が真面目に話してンのに!」
「いいか、一度しか言わねぇ。よぉく聞きやがれ。」
「………うん。」
「俺達は何があろうとこの異変を止めなきゃならねぇ。俺達のなかの誰かが死んで天竺に行けるなら安い犠牲だ。
ハッピーエンドなんか期待してんじゃねぇよ。
自分の役割を忘れるな。」
「……………そっか。そ、だよね。えへへ、いきなり変な事言ってごめん!」
俺達は何があっても歩き続けなきゃならねぇ。
ハッピーエンドなんて、期待するだけ無駄だ。俺達しか、異変を止めれないんだから。
(ハッピーエンドなんて論外で、)
バトン置き場
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