‡CRYSTAL‡ 約束の君 「――ねぇ、いつか。 この空の果てで 一緒に眠ろうか…」 この堕落した世界を、 最期まで生き抜くことが出来たなら、 いつか、あんたの楽園へ行きたい 其処で、あんたと共に永遠の眠りに付きたい。 だって其処では亜人もヒトも、天上人も地上人も関係ないんでしょ? 俺はただの男で、あんたはただの女になる。 「――…そう、だね」 「ティナ…」 「いつかきっと…行けるといいね」 俺の胸に縋って、ティナは泣いた。 父さんの死が哀しいのか、俺の言葉が嬉しかったのか、それとも、何か他の理由か…。 俺には、分からなかった。 きっと空の果てへ行けば、あんたの気持ちも全て理解できるような気がする。 俺があんたをどれだけ大切に想っているか、分かってもらえる気がする。 「俺が、連れていくよ」 たとえ、自分が 消える運命だと 知っていても この手を離すことなんか 出来やしないのだから。 ならば、せめて 貴方と共に夢を見よう。 永遠に醒めることのない、 安らかな夢を――… ―序曲 OVERTURE― 終 [前へ][次へ] [戻る] |