‡CRYSTAL‡
石碑に纏わる事件
「なんという事だ…」
町長が漏らした驚嘆の声が、狭いドーム内に響いた。
ダイスも石碑の変わり果てた姿に、思わず後ずさる。
「こんな…事って…」
石碑は、今までのように砕かれていなかった。
ただ一つ違う事は、石碑を覆うように巨大な水晶の柱が出来ていたのだ。
「こ、こんな筈は…っ!
今朝見た時は確かに無事だったのだ!!」
うろたえる町長の言葉を聞きながら、ダイスは困惑した頭で必死に考えた。
石碑に次々と降り掛かる不幸。
それはいつも、自分達が訪れるのを見計らっているように起きている。
――何者かに、見られている?
「まさか、そんな…」
考えたくはないが、自分達の中に犯人と繋がっている者がいる可能性さえ出てきた。
それにこの不可解な現象についても、ただ事ではないと言える。
「…町長。すぐに此処を閉鎖して下さい。
色々と、調べる事があるので」
そう言ってダイスは、悔しそうに唇を噛み締めた。
.
[前へ][次へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!