‡CRYSTAL‡ 珍しい鉱石 ――――――――― ―――――― ――― 一方、一人街に残ったダイスはドール町長に会い、石碑の様子を見に行った。 「クルドアとフォーレの石碑が破壊されてしまったなど…、信じられませんな」 ダイスを安置場所へと案内しながら、町長は驚嘆の声を漏らした。 「ドールは何か変わった事はありませんか?」 「お陰さまで、こちらは平和なもんです。 二年前にオルガの奇襲を受けてから、すぐにハンターを雇いましたので」 ふと、町長は思い出したように口を開く。 「ああ…そう言えばつい最近、この近辺で水晶が採れましてな」 「水晶…?」 「ええ、森の中を探索していた街の者が地中に埋まっていたものを発見したのです。 両手に納まる程の大きさでしたが、この周辺で発掘される事は極めて珍しいので…大分騒がれましたよ」 そう言って町長はにこやかに微笑むが、ダイスには何か引っ掛かった。 突然、大量繁殖しだした水晶。 元は隕石の落下地点であるクロエでしか採れないものだったのだが、最近では世界各地でも発見されつつあった。 ふとダイスは、首都の研究員が水晶霧(クリスタルミスト)の影響が世界に広まりつつあると危険性を指摘していたことを思い出す。 「その水晶は今何処に?」 「ちょうど石碑の安置場所に保管しておりますよ。 さ、こちらでございます」 ドールの町外れにある、白い壁に覆われたドーム状の部屋。 案内されたダイスは、その中へ足を踏み入れる。 . [前へ][次へ] [戻る] |