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‡CRYSTAL‡
歴史の始まり
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「し、そ…?」


ぽつりと、ティナは話に出た言葉を繰り返した。




都市フォーレの保安局。
ティナ、ロゼ、ダイス、そしてヒルダの四人は、客間の一室にてアリアの話に耳を傾けていた。

既に日も傾いた頃にはティナも落ち着きを取り戻し、アリアから詳しい話を聞く事にしたのだ。

最初は渋っていたアリアが漸く口を開き、出て来た言葉が“始祖”というもの。



「始祖って、いっちばん昔の先祖の事よね?
…話はそんなとこまで遡るの?」

「私は…シエルの死体に乗り移った“彼”から聞いた事しか話せない」


疑うようなヒルダの探りに、アリアは顔を俯かせたまま答えた。



「知ってる事なら何でも構わないわ。
お願いアリア、話して」


そのティナの頼みに、アリアは小さく頷く。



「もう…何千年、昔の話か分からないけれど。
そんな大昔の頃から、地上には人間が大勢存在した。
増え過ぎた彼らを纏める為、二人の指導者が名乗りを上げ、協力して国を創ろうとしたのだ」


アリアは顔を上げ、ゆっくりと口を開く。



「一人はヴァリアス、もう一人は、エクセニアと名乗ったそうだ」

「それが歴史上初めて皇帝となった奴らか…。
偶然にしちゃあ、出来過ぎた名だなぁ」


壁にもたれ掛かり腕を組みながら、ロゼは口を挟む。


「そう…彼らは後に人口を分散しようと考えた。
そこでヴァリアス側の人間達は、“大地上昇気流”を利用し空へ旅立ったのだ」

「大地上昇、気流?」


聞き慣れない言葉に、ティナは首を傾げる。
するとダイスは思い出したように声を上げた。


「それなら首都の研究員から聞いた事がある!
確か…大昔はまだ天候の動きが不安定だったんだ。
それで一箇所に集中した気流が、大地を丸ごと上空へ吹っ飛ばしてたんだっけ」

「な、何だか危険だね…」



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