‡CRYSTAL‡ 序奏〜堕〜 全能なる神の加護に包まれた者。 人間の行く末を、ただ見守る傍観者。 純白の翼と清らかな心を持つ、その名は“天使” 争いを嫌い、 不条理を悪み、 愛と正義を心から愛する、儚く尊い者。 天使は常に、人間の生涯を見届けている。 探究心が強く、真面目で、勤勉な学者。 欲が深く、傲慢で、我が儘な貴族。 誇り高く、誠実で、勇敢な騎士。 天使は人間を、とても面白い生き物だと感じた。 もっと近くで見ていたい。 彼らの生き様に触れたい。 出来るならば、人間の世界に降り立ちたい――… だが、その願いは 神の逆鱗に触れる禁忌。 『お前のような純心無垢な天使が、醜い人間の世で生きていける訳がないのだ』 『――…試してみるか』 神は大きな手を伸ばし、小さな天使の羽根を奪った。 真白な羽根が辺りに舞う。 翼を失った天使は、地に落ちていく。 世界は逆さま。 神は足元で嘲笑う。 空には地が待っている。 ああ、遠い、この距離が。 焦がれた醜い世界へと ゆっくり、落ちる。 落ちて、落ちて、落ちて 堕ちて――… V,CLOCK [次へ] [戻る] |