‡CRYSTAL‡ 吐き出された感情 ―――――――― ―――― アリアに教わった通り、俺は紋様の描かれた部屋へ行くと転移装置を発動させた。 その装置はどうやらまだ未完成だったらしく。 エクセニアの首都へは照準を合わせられないらしい。 堕ちた先は、首都より数キロ離れた砂漠地帯。 俺はただひたすら首都を目差し、やっとここまで辿り着いたんだ――… 「――…天上ヴァリアスには、軍隊や戦争の兵器などは見当たりません。 再戦の可能性は…とても低いでしょう」 謁見の間にて、セーマは自分の身に起きた一連の事態を淡々と語った。 だが下を向いたまま視線を誰とも合わせようとはしない。 ロゼ、ダイスは勿論、特別に立入を許可されたテンペストのメンバーも、セーマの話を簡単には信じられなかった。 だが実際にティナは姿を消し、帰って来ない。 第一セーマは嘘をつくような人間ではない。 「…顔を上げなさい、セーマ」 今まで口を閉ざして聞いていた皇帝が、言った。 セーマはゆっくりと俯いていた顔を上げる。 その表情は、いつもの不敵なセーマでは無かった。 まるで魂を抜かれた“抜け殻”のように、機械的に動いている。 「っ…セーマ!!何でティナを置いて来たんだよ!?」 ロゼの怒声が謁見の間の高い天井に響き渡る。 しばしの沈黙の後。 「…俺に何が出来るって言うんだよ」 セーマは力なく口を開いた。 「あいつの故郷で、あいつの居場所で……俺に何が出来たって言うんだ!!?」 「何かしろなんて言わねぇよ!!ただ傍に居るだけでも、あいつの為になったんじゃねぇのかよ!!?」 「そんな半端な優しさが、ティナの為になると思ってんのかッ!!!」 セーマは怒鳴った。 今までにないくらい、抑えていた感情を吐き出した。 . [前へ][次へ] [戻る] |