[通常モード] [URL送信]

‡CRYSTAL‡
脳裏に巡る言葉
―――――――――
――――――
―――




謁見の間を退室した後、セーマはエクセニア城の長い廊下を歩いていた。

城の家臣やメイド達はセーマとすれ違う度に、丁寧に会釈をする。

一介のハンターが、まるで貴族の客人として持て成されている気分だった。



「あの皇帝…何考えてるんだか」


先程見た皇帝の表情は、この上なく穏やかだった。

皇帝の言う“彼女”と自分を重ねているのだろうか。


「…俺に似てる亜人の女、か」


そのような人物は、見た事も聞いた事もない。

そもそも黒い狐の亜人種は珍しい。

城に滞在した程の身分の者なら、顔見知りでなくともセーマの耳に入っている筈だ。


――この地上エクセニアでは、亜人種は差別の対象となる存在なのだから。






『世界を支配すべきは、ヒトではなく亜人だ。

俺達は優れた能力を持ち合わせた、最高の種族なのだから』







その時、散々耳にしたレイヤの言葉が甦る。

セーマは悲哀に瞳を細め、ふと窓の外に視線を向けた。




.

[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!