‡CRYSTAL‡ ダイアス・マーティメット 「助かったよ。セーマ君のお陰で早くカタが付いた」 「…あんた、何者?」 セーマは金色の瞳でダイスを睨んだ。 先程の不審な言動。 個人営業のハンターだとは思えなかった。 するとダイスは懐から身分証明書を取り出し、セーマに見せる。 その黒い表紙には『首都保安官』と記されていた。 「改めて、僕は首都エクセニアから派遣された21番隊隊長。ダイアス・マーティメットです」 「…あんた、政府の人間だったの!?」 怪しいとは疑っていたセーマも、さすがに政府の保安官、それも隊長だとは夢にも思っていなかった。 「実はリュマノの領主が密輸入者だって事は調べがついてたんだけど、今回オルガが関係してるという事でハンターである君に依頼したんだ。 流石の僕もオルガに太刀打ちできるか心配だったからね〜」 頭の後ろに手を置いてヘラヘラと笑うダイスは、どう見ても保安官には見えなかった。 だがそれより、セーマには気になる事があった。 「じゃあ…俺の報酬は?」 「あ、心配しないで!政府の方でちゃーんと用意するからさっ♪」 ダイスはVサインをしながら軽快に答えた。 半ば呆れ気味のセーマだが、報酬が手に入るならば、と安堵する。 ――だが、その時だった。 ――ガッシャァァン!!!!!! 「…っ!?」 突如響いた金属音に、セーマとダイスは一斉に振り向いた。 この地下牢で一番大きな檻が、音を立てて開き出したのだ。 「し、しまった!!檻が……っ」 ケリーは青ざめた様子でその場にへたり込む。 収容されていたオルガは檻を押し破り、セーマ達に近付いてくる。 ダイスの額に嫌な汗が流れた。 「これが…オルガ」 『グゥルルル…』 それは、銀色の一角獣。 その体毛は角と同じく白銀で、どこか神々しい姿をしていた。 . [前へ][次へ] [戻る] |