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‡CRYSTAL‡
世界一軽くて静かな武器




「貴様…何をした!?」

「別に?急所は外したから死んでないよ」


倒れた警備達を良く見ると、足や肩を負傷しているだけだ。
セーマは掠める程度に撃ったと言うが、素早すぎる動きは見えなかった。

それに何より…。



「撃った…だと!?銃声などしなかったではないか!!」

「このスカルレイヴは普通の銃じゃない。
俺用に造られた『世界一軽くて静かな銃』だからね」


そう言ってセーマは自信満々に笑みを浮かべた。

ダイスは、彼の持つ短銃を見て、ある事に気付く。



――彼の持つ銃には引き金と銃口が『二つ』付いているのだ。



「コイツは相当な瞬発力がないと、使えないよ。
反動で弾かれるのがオチ」

「そ、そうか貴様がハンター…『漆黒の狐』か!」


完全に不利になったケリーを確認して、ダイスは漸く本題を話し出す。
その表情は真剣そのものだった。



「何の目的でオルガを密輸したんだ。
こんな大掛かりな地下牢まで作って…」


セーマは銃口を突き付けたまま横目でダイスを見る。昼間と違う様子に、少し違和感を覚えた。

ケリーは跪いたまま、眉間に皺を寄せる。



「何故…だと?オルガの額の核には利用価値があるからに決まっている…っ!」


オルガの膨大な力の源は、額に輝く“核”と呼ばれるもの。
その用途は治癒力から破壊力まで、幅広く知られている。

ケリーは今回、誕生記念パーティーと称した『闇市』で、その角を売りさばこうとしていたのだ。



「闇オークション…。この会場にいる招待客も参加者か」


小さく舌打ちをして、ダイスは懐から小型の通信機を取り出し、どこかに連絡をし始めた。



「こちら21番隊。容疑者を確保した!」

『了解!直ぐに本部へ連絡する!』


通信機を懐に戻したダイスは、そのやり取りを呆然と見ていたセーマに向かって微笑みかけた。


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あきゅろす。
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