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‡CRYSTAL‡
疑わしい小屋
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しばし山道を登ると、小屋の明かりが目に入った。

簡素だが立派な小屋の戸を、セーマは不躾に開ける。
するとすぐにアリスがセーマ達を出迎えた。



「オ帰リナサイマセ。
セーマサン、ゴ苦労様」

「これ頼まれた物だから」


そう言って買い物袋をアリスに手渡す。

するとアリスはセーマに背負われたティナにも手を伸ばした。



「ちょっ…これは違う」


気を失った彼女を買い物の品と勘違いしたアリスは、小さく首を傾げた。



「この人は客だよ」

「オ客様…デスカ」


ティナを客と認識したアリスは、未だ玄関先に立つロゼとダイスに視線を向ける。

セーマも二人を見た。



「何してんの、入れば?」

「ここ…誰の家だよ」


正体不明の小屋に招かれ、出迎えたのは珍しいメイドロボ。
疑わない方がおかしい。



「俺が昔住んでた家。
宿は俺が壊したようなもんだし、今夜はここに泊まんなよ」

「だ…だけど、そんな急に…」

「アリス…あの二人も客だから、部屋に案内して」


いつまでたっても動かない二人に苛立ち、セーマはアリスに命令をした。



「了解シマシタ」

「うわぁっ!?」


命令に従い、アリスはロゼとダイスを軽々と担ぎ上げる。

一見か弱そうな細身の女性の姿をしたアリスが、大の男二人を持ち上げる光景は、とても滑稽なものだった。






――バァンッ!!


「おいセーマっ!!
一体どこで油売ってやがった!?」


突然勢いよく開かれた扉の向こうで、老人は物凄い剣幕を浮かべていた。
すると老人は、アリスの怪力によって持ち上げられていたロゼとダイスに視線を向ける。



「ぁあ?誰だおめぇら」

「と、とりあえず降ろしてくれ…」


怯えたロゼが、微かに声を漏らす。
セーマは二人を離すようアリスに命令した。

やっと足が地に着いたロゼとダイスは、ふぅと一息つく。



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