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‡CRYSTAL‡
無償の仕事






―――――――




ドールを襲ったオルガは男と共に撤退したようだった。
所々の民家は半壊しているものの、セーマ達の働きで被害は最小限に抑えられただろう。

街中を歩いていると、セーマに依頼をした男達が集まってきた。



「あっ、兄さんっ!
お陰でドールはリミルの二の舞にならずにすんだよ」

「…どーも。でも親玉は逃がしちゃったから、報酬はいらない」


セーマのその言葉に、街人とロゼ達は耳を疑った。



「せ、セーマ君が…報酬を断った…!!」

「天変地異の前触れか…」

「大地震か…」

「つ、津波か!?」


その場にいた者達は、あたふたと動揺し始める。
それほどにセーマのがめつさは知れ渡っていたのか。

そんな彼らの様子に、セーマは不機嫌そうな顔を浮かべる。



「…あんたら俺を何だと思ってんの?」

「「「「金の亡者」」」」



見事に声を揃える。

セーマは小さく溜息をつき、近くにいた街人に話し掛けた。



「それより俺の荷物は?」

「あ、こちらです!」


『どーも』と買い物袋を受け取り、セーマは足早にその場を去った。



「ま、待てよ!!」


ロゼとダイスは慌ててセーマの後を追う。

夜も更けたこの時間帯に街から遠ざかる。

一体どこへ行くと言うのか。




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あきゅろす。
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