‡CRYSTAL‡ 監視者ダイス ―――――――― ―――――― 「ティナ!怪我はない?」 「うん!ヒルダも元気そうで良かった…」 別れた仲間と再会し、テンペストの面々は直ぐさま旅立つ準備をした。 いつも通りのメンバー。 いつも通りの船内。 変わらぬ風景の筈だった。 ただ一つ違うことは、保安官であるダイスが同乗していること。 軍服から普段着に着替えた彼は、船内を見渡して感嘆の声を漏らした。 「へぇー…小さいけど良い船だなぁ。メンバーも随分若いね」 「無駄口叩くな。見てるだけじゃなくてお前も動け」 「そんな、僕は監視役として乗ってるのに。なんなら局の船を用意しようか?」 「…連行されてるみたいで落ち着かねぇよ」 いつものヘラヘラとしたダイスの態度に、ロゼは大きな溜息をついた。 そんな只ならなぬ談話室の様子を、団員達はこっそりと窺っていた。 「あれが警察の隊長…? なーんかヘラヘラして弱そうね」 「人は見掛けによらないっすよ、ヒルダさん。 それを言うなら団長が元保安官って言うのも信じ難いっすよね…」 モークの視線の先には、だらし無く椅子に腰掛けるロゼの姿。 「それにさ、あのロゼが小さい頃のティナを捨てたなんて…」 カウルの言葉に三人は肩を落とす。 するとヒルダはコンピューターをいじりながら、口を開いた。 「…ティナもね、どこと無く元気なかったの」 「セーマも抜けて環境が変わったしな…」 . [前へ][次へ] [戻る] |